欧州の逆襲!独自決済「PEPSI」始動で米中依存からの脱却なるか?金融主権を守る全欧州構想の全貌

2019年11月28日、世界の金融バランスを揺るがす大きな動きが表面化しました。欧州中央銀行(ECB)と欧州の主要20銀行が、自分たちの手で独自の決済システムを構築するための本格的な検討を開始したのです。現在は米国のビザ(Visa)や中国のアリペイといった巨大資本が市場を席巻していますが、欧州はこの「米中二強」の寡占状態に強い危機感を抱いています。

この野心的なプロジェクトには「PEPSI(全欧州支払システム構想)」という仮称が付けられており、すでに関係者の間では予備的な会合が重ねられています。2019年12月には本格的な議論の火蓋が切られ、2020年04月には具体的な方向性が示される予定です。単なる理想論ではなく、実務レベルでの「自立」に向けたカウントダウンが始まっていると言えるでしょう。

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「経済の血液」を米中に握られるリスク

現在、カード決済市場は中国銀聯、ビザ、マスターカードの3社だけで世界シェアの9割以上を占めています。欧州の店舗でもウィーチャットペイなどの中国勢が浸透していますが、これは単なる利便性の向上だけを意味しません。決済システムとはいわば「経済の血液」を運ぶインフラであり、これを他国に依存することは、政治的な対立が起きた際に首根っこを掴まれるリスクを孕んでいます。

実際に2014年、ロシアがクリミア半島を併合した際、米国の制裁によってビザなどの決済機能が停止した事例は記憶に新しいところです。SNS上でも「日本も他人事ではない」「経済制裁で生活が止まる怖さを感じる」といった声が上がっています。価値観の異なる国々に自国の決済インフラを委ねる危うさを、欧州は歴史的な教訓から痛感しているはずです。

PEPSIが目指すのは欧州全域をカバーする包括決済

この構想が目指すのは、クレジットカードからスマホ決済、銀行間送金までを一手に担う巨大なプラットフォームです。欧州内での電子取引シェアの少なくとも6割を獲得するという高い目標を掲げ、さらには域外での利用も見据えています。フランスのBNPパリバをはじめ、ドイツ、スペイン、イタリアといった主要国の銀行が結束し、まさに「オール欧州」で挑む一大プロジェクトです。

過去には「モネ」という同様の構想が立ち上がりながらも、各国の利害調整が難航して頓挫した苦い経験がありました。しかし、米中対立が激化し、トランプ政権による自国第一主義が加速する2019年現在の情勢は、当時とは比較にならないほどの緊張感に満ちています。今度こそは失敗できないという決意が、今回の動きを後押ししているのは間違いありません。

編集部が読み解く「デジタル時代の独立宣言」

私は今回のPEPSI構想を、現代における「デジタル時代の独立宣言」だと捉えています。生活に欠かせない決済データが他国に蓄積され、利用を制限される可能性を残すことは、国家の主権を脅かしかねないからです。独自システムを構築することで、欧州は自らの経済ルールを自らで守るための「盾」を手に入れようとしているのでしょう。

もちろん、すでに確立された米中企業の利便性に打ち勝つのは容易ではありません。しかし、プライバシー保護やセキュリティにおいて独自の厳しい基準を持つ欧州が主導権を握ることは、ユーザーにとっても新しい選択肢となり得ます。2020年04月の発表でどのような具体的なロードマップが描かれるのか、世界中が固唾を呑んで見守っています。

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