2019年12月13日、政府・与党から発表された税制改正大綱により、日本のビジネスシーンに大きな変化が訪れようとしています。これまで資本金100億円を超える巨大企業に認められていた「交際費特例」という減税措置が、2019年度末をもってついに幕を閉じることになりました。
この特例は、企業が接待などで支出した飲食代のうち、1人あたり5,000円を超える分について、その50%を「損金」として計上できる仕組みです。損金とは、税金の計算上で収益から差し引ける費用のことで、これが認められるほど企業が支払う法人税は安くなるというメリットがありました。
もともとは2014年度、企業が内部に溜め込んだ資金を外に吐き出させ、飲食業界などの景気を刺激するために創設された制度です。しかし、近年の大企業はコスト削減の意識が非常に高く、減税があるからといって積極的に接待を増やすような動きは、残念ながら限定的だったようです。
SNS上では「接待で景気が良くなる時代ではない」「もっと生産的な場所にお金を使うべきだ」といった冷静な意見が多く見受けられました。国税庁のデータを見ても、資本金100億円超の企業による損金算入額は年間300億円程度で横ばいとなっており、劇的な経済効果は薄いと判断されました。
中小企業は守りつつ次世代のイノベーションへ投資
一方で、日本企業の大多数を占める中小企業については、この減税措置がしっかりと継続される見通しです。2017年度の中小企業による交際費支出は約2兆9,662億円にものぼり、地方経済や円滑な取引を支える重要な資金源となっているため、廃止による経営への悪影響が懸念された結果といえます。
今回の改正で最も注目すべき点は、大企業から「返上」させた減税分を、未来への投資へ振り向けるという決断です。浮いた財源は、独自の技術を持つ未上場のスタートアップ企業への出資を優遇する新しい税制などに活用され、異業種間の協業やイノベーションを強力に後押しします。
自民党の甘利明税制調査会長は2019年12月11日、記者団に対し、効果が薄れた古い制度を整理し、新しい成長が期待できる分野へ資金を投じる重要性を力説しました。内部留保が過去最高を更新し続ける中、眠っている資金をいかに動かすかが、日本経済再生の鍵を握っているのでしょう。
私個人の見解としては、単なる飲食接待への優遇を縮小し、オープンイノベーションへの資金循環を促すこの方針は、極めて妥当でポジティブな転換だと感じます。接待文化の維持よりも、新しいビジネスが生まれる土壌を育てることこそが、令和の時代に求められる真の経済対策ではないでしょうか。
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