2019年10月の消費増税から数ヶ月が経過しましたが、広島県内のビジネスシーンには予想以上に静かな空気が流れているようです。ひろぎん経済研究所が2019年12月11日に発表した「2019年度下期経営者アンケート調査」によれば、増税直前の駆け込み需要を実感した企業は、全体のわずか2割に留まりました。
駆け込み需要とは、税率が上がる前に商品やサービスを安く手に入れようとする消費者の購買行動を指します。過去の増税時には日本中でお祭り騒ぎのような盛り上がりを見せましたが、今回の広島では一部の小売業や情報サービス業を除き、景気を力強く押し上げるほどの爆発力は欠いていたのが実情でしょう。
SNS上では「前ほど焦って買わなくなった」「ポイント還元があるから急ぐ必要を感じない」といった冷静な消費者の声が目立っています。こうした市場の冷ややかな反応が、県内企業のアンケート結果にも如実に反映された形です。編集者の視点から見ても、消費者の賢い選択が企業の期待を上回った結果といえるかもしれません。
熾烈な競争が阻む価格転嫁の壁
増税後の対応において、さらに深刻な課題が浮き彫りになりました。調査に応じた企業の約4割が、増税分を商品価格に上乗せする「価格転嫁」を、全部または一部で見送ったと回答しています。これは、自社の利益を削ってでも従来の価格を維持し、顧客の離脱を防ごうとする苦渋の決断に他なりません。
同業他社との激しいシェア争いが続く中、価格据え置きを選ばざるを得ない経営者の苦悩が伝わってきます。しかし、コストばかりが増大する状況は、長期的には企業の体力を奪いかねない危うさを秘めています。広島の経済を支える中小企業が、この荒波をどう乗り越えていくのか、今後の動向から目が離せません。
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