日東電工の純利益30%減!スマホ偏光板の苦戦と5G時代の新戦略に迫る【2020年最新決算】

スマートフォンや自動車の心臓部を支える大手化学メーカー、日東電工の最新決算が発表されました。2020年01月27日に開示された2019年04月から2019年12月期までの連結決算によると、最終的な儲けを示す純利益が前年の同じ時期と比べて30%も減少した426億円にとどまったことが判明したのです。売上高も9%減の5707億円と落ち込んでおり、同社が直面している厳しい現実が浮き彫りになりました。

今回の苦戦の最大の要因は、同社が世界的なシェアを誇る「スマホ向け液晶偏光板」の需要低迷にあります。偏光板とは、特定の方向に進む光だけを通過させることで、液晶画面の明るさやコントラストを調整する極めて重要な電子部品です。しかし、激化する米中貿易摩擦の煽りを受けて、同社が得意とする高級スマホの売れ行きが世界的に鈍化してしまいました。スマホの買い替えサイクル自体が長期化していることも、大きな痛手となっています。

SNS上では「技術力がある企業なのに、スマホ市場の動向に左右されすぎていて心配」「米中摩擦の影響がここまで直撃するとは」といった、今後の動向を懸念する声が数多く上がっていました。さらに、前年にあった技術ライセンスに伴う特許使用料(ロイヤルティー)収入の反動もあり、ディスプレイ関連を扱うオプトロニクス事業の営業利益は18%減の469億円と大きく目減りしています。世界的な景気の冷え込みが、同社の業績を直撃した格好です。

また、中国やインドにおける自動車の生産不振も影を落としました。ドアの補強用テープや電子部品の製造時に使われる工業用テープといった「インダストリアルテープ事業」の営業利益も、28%減の198億円へと縮小しています。こうした現状を踏まえ、同社は2020年03月期通期の業績予想を据え置きました。売上高7500億円、純利益520億円を見込んでいますが、中国を中心に感染が拡大している新型コロナウイルスの影響も懸念材料です。

スポンサーリンク

5G市場での巻き返しと株価回復への期待

同社の未来を占う上で、最大の課題となるのが次世代通信規格「5G」関連での商機獲得でしょう。5Gとは、現行の4Gを遥かに凌ぐ「高速大容量」「低遅延」「多数同時接続」を可能にする次世代の無線通信技術のことです。電子部品業界全体がこの新技術に沸くなか、日東電工は半導体の製造工程で使われる材料などは供給しているものの、5Gスマホそのものに搭載されるような目玉となる新製品がまだ見当たらないのが現状と言えます。

期待の星であるプラスチック製光ケーブルも現状は試作品を顧客へ届けるサンプル出荷の段階であり、本格的に利益へ貢献するにはまだ時間がかかる見通しです。こうした背景から、株価の動きもライバル企業に一歩リードを許しています。5Gの基地局向けに需要が爆発している電子部品「積層セラミックコンデンサー(MLCC)」を手掛ける村田製作所や京セラが株価を約2割も上昇させたのに対し、日東電工の伸びはわずか5%にとどまりました。

筆者は、今回の減益という結果を過度に悲観する必要はないと考えています。同社は決算と同時に、市場の警戒感を和らげるために500億円を上限とする自社株買いを発表したからです。2020年02月03日から2020年07月31日にかけて実施されるこの施策は、企業が自らの資金で株を買い戻すことで1株あたりの価値を高め、投資家を大切にする姿勢を示す強力な一手となります。これだけの株主還元を行えるだけの資金余力が、同社にはまだ十分にあります。

目先のスマホ市場の減速に振り回されることなく、どれだけ早く5G関連の突出した新商材を市場に投入できるかが、今後の持続的な成長に向けた試金石になるでしょう。日東電工が持つ高い技術力が次世代インフラと融合し、再び強気な成長軌道へと回帰していく姿を、メディアとしても一人のファンとしても大いに期待しながら見守りたいところです。

コメント

タイトルとURLをコピーしました