2019年6月27日、世界が注目する20カ国・地域首脳会議(G20サミット)が大阪で開幕を目前に控える中、ドナルド・トランプ米大統領がワシントンを出発する前に放った強烈な発言が、国際社会に大きな波紋を広げています。大統領はホワイトハウスにて記者団に対し、「多くの国が米国を利用してきたが、そんなことはすぐに全くなくなる」と非常に強い言葉で強調なさいました。これは、貿易や安全保障といった分野で、米国が不公平な立場に置かれているというトランプ氏の根深い不満を改めて表明し、G20で対峙する各国へ厳しくけん制する意図が込められているものと拝察されます。
特にトランプ氏は、日本との安全保障協力における義務の「一方性」について、極めて象徴的な例を挙げ、不満をあらわにしています。同日のFOXビジネス・テレビのインタビューで、「日本が攻撃されれば、我々はどんな犠牲を払ってでも戦う。だが、米国が攻撃されても日本は必ずしも助けてくれない」と指摘なさいました。さらに、「米国が攻撃されたとき、日本はその状況をソニーのテレビで見ていられる」という辛辣な表現を用いて、日米安全保障条約における防衛義務のバランスが、米国にとって不平等であるとの考えを強く示されたのです。
この発言の背景には、安全保障上の協力を一種の「取引材料」として活用し、目下進行中の日本との貿易交渉を、米国にとってより優位な形で進めたいという大統領の戦略的な狙いがあるものと推測されます。読者の皆様のSNSでの反応を見てみましても、「同盟国を利用しているという主張は一方的ではないか」といった疑問の声や、「防衛費のあり方を改めて議論すべき時が来ている」という、日本の安全保障に対する関心が高まっている様子がうかがえます。
また、トランプ氏の批判の矛先は欧州にも向けられています。北大西洋条約機構(NATO)加盟国、特にドイツに対しては、軍事費の負担が不十分であると強く非難なさいました。NATOとは、米国、カナダ、および多くの欧州諸国が加盟する集団防衛機構のことで、加盟国は相互に防衛の義務を負いますが、トランプ政権は各国に「公平な軍事費負担」を強く求めているのです。ドイツは、支払うべき分を支払っていないと厳しく断じられたうえ、さらに「ドイツはエネルギー調達でロシアに大量のお金を支払っている」と、ロシアとドイツを結ぶ天然ガスパイプライン建設計画を念頭に指摘なさいました。
大統領は、欧州の対応が中国よりもひどいとまで表現し、安全保障とエネルギー問題の双方で、米国の利益が侵害されているとの認識をお持ちのようです。私見ではありますが、これは国際的な協力関係を、あくまで「ギブ・アンド・テイク」のビジネスライクな関係として捉えるトランプ流のリアリズムが色濃く出たものと言えるでしょう。伝統的な同盟関係の枠組みを揺るがしかねない、大胆な外交姿勢です。
金融政策についても言及があり、トランプ氏は欧州中央銀行(ECB)のマリオ・ドラギ総裁が金融緩和に意欲を示している点を高く評価なさいました。ECBとは、ユーロ圏の金融政策を担う中央銀行です。そしてトランプ氏は、ドラギ総裁を「米連邦準備理事会(FRB)議長に据えるべきだ」とまで発言し、再びFRBのジェローム・パウエル議長に対し、利下げを行うよう重ねて圧力をかける形となりました。大統領は、「欧州は市場に資金を供給しているのに、FRBは吸い上げている」と述べ、米国の金融政策が経済成長の足かせになっているとの持論を展開されています。
この一連の発言は、2019年6月28日から始まるG20サミットの場で、トランプ大統領が貿易、安全保障、そして金融という三つの主要な分野で、各国に対して極めて厳しい要求を突きつける姿勢の表れだと考えられます。世界の主要国首脳が集うこの場で、トランプ氏の「米国第一主義」がどのような議論を呼び、どのような結果をもたらすのか、その行方は予断を許さない状況にあると言えるでしょう。
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