半導体業界の基盤を支える大手素材メーカー、SUMCOが2020年2月13日に発表した最新の業績予測が、市場に大きな衝撃を与えています。同社によると、2020年1月から2020年3月期における連結純利益は、前年の同じ時期と比べて58%も落ち込む55億円にとどまる見通しです。この急激なブレーキには、スマートフォンやパソコンの頭脳となる半導体の製造に欠かせない「シリコンウエハー」の販売不振が深く関係しています。
今回の業績悪化を招いた最大の要因は、スポット販売、つまりその都度価格を交渉して取引を行う手法をメインとする台湾子会社の苦戦にあります。主力である直径300ミリメートルの大型ウエハーに関しては、事前に結んだ長期契約のおかげで値上げ効果の恩恵を受けている状況です。しかし、台湾子会社では取引される数量と価格がともに低迷しており、全体の足を引っ張る形となりました。
さらに追い打ちをかけるのが、設備投資に伴って発生する減価償却費の膨張です。これは工場や機械などの高額な資産を、数年に分けて費用として計上する仕組みを指します。将来への投資が、一時的に現在の利益を圧迫する重荷となってしまいました。売上高は前年同期比14%減の710億円、本業の儲けを示す営業利益は55%減の90億円を見込んでおり、厳しい春の幕開けとなりそうです。
現在の半導体市場は、まさに明暗が分かれる過渡期を迎えていると言えるでしょう。回路の設計や計算を行う「ロジック半導体」向けは、溜まっていた在庫の整理が一段落したため好転の兆しが見えています。その一方で、データを記憶する「メモリー半導体」向けのウエハーは、未だに在庫調整のトンネルを抜け出せていません。この需要のアンバランスさが、同社の業績に直撃しているのです。
SNS上では、この発表を受けて「半導体サイクルの波は本当に激しい」「底打ちのタイミングを見極めたい」といった、先行きを冷静に見守る声が多数上がっています。これに対し、SUMCOの橋本真幸会長は、シリコンウエハー全体の需要について「2020年の後半以降には回復へ向かう」という前向きな見解を示しました。世界的なデジタル化の流れを考慮すれば、この停滞は一時的な調整局面である可能性が高いと考えられます。
ただし、足元では新型肺炎の流行という予測困難なリスクも浮上しています。橋本会長は「この問題が長引けば半導体市況全体に悪影響を及ぼすため、いかに早期で収束するかに尽きる」と言及しました。サプライチェーンの停滞懸念も含め、世界経済の動向が今後の命運を握るでしょう。なお、同時に発表された2019年12月期の連結決算は、純利益が前の期比43%減の331億円、売上高が8%減の2994億円でした。
編集部の視点としては、目先の減益数字に過度な悲鳴を上げる必要はないと捉えています。5Gの普及やデータセンターの拡張など、中長期的な半導体の需要拡大は確実視されているからです。減価償却費の増加も、未来の爆発的な需要に応えるための「必要な助走期間」と言えます。目前の不透明な霧が晴れ、2020年後半に向けて反転攻勢へ移る瞬間に、今から大いに注目したいところです。
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