日本の考古学研究の聖地とも言える奈良県立橿原考古学研究所に、新たな歴史の1ページが刻まれようとしています。奈良県は2019年07月08日、次期所長として前文化庁長官の青柳正規氏を起用することを正式に発表しました。就任予定日は2019年08月01日となっており、日本を代表する知の巨人が大和の地に足を踏み入れることになります。このニュースは考古学ファンのみならず、文化政策に携わる関係者の間でも大きな驚きと期待を持って受け止められているようです。
青柳氏の経歴を振り返ると、まさに文化と芸術の第一線を歩み続けてきた人物であることが分かります。東京大学での文学部長や副学長という要職を経て、2005年には国立西洋美術館の館長に就任されました。さらに2013年から2016年にかけては文化庁長官として、日本の文化行政の舵取りを担ってきた実績を持ちます。そんな国際的な視点を持つリーダーが、地域に根ざした発掘調査の総本山を率いるという事実は、今後の研究方針に劇的な変化をもたらす可能性を秘めているでしょう。
専門領域についても、青柳氏は非常にユニークな背景をお持ちです。専門は「美術史学」と「古典考古学」であり、これは主に古代ギリシャやローマなどの地中海世界の遺跡や芸術品を研究対象とする学問を指します。いわば、西洋文明の源流を科学的・芸術的視点から解き明かしてきたエキスパートと言えるでしょう。日本の中心地である奈良の遺跡群を、世界史的なマクロの視点からどう捉え直すのか、その手腕には早くも熱い視線が注がれています。
この異例とも言える人事に対し、SNS上では「文化庁長官を務めた方が研究所のトップになるとは、奈良の本気度が伝わってくる」といったポジティブな声が数多く寄せられました。また、これまでの伝統的な考古学の手法に、青柳氏が得意とする美術史的なアプローチが加わることで、出土品の価値がより多角的に評価されることを期待する意見も見受けられます。一方で、海外の考古学に精通した氏が、日本の在地研究とどのような化学反応を起こすのかを注視する専門家も少なくありません。
編集者の視点から言えば、今回の就任は橿原考古学研究所が「ローカルからグローバルへ」と脱皮する絶好のチャンスだと確信しています。これまでの考古学は、往々にして細かな遺物の分類に終始しがちでしたが、青柳氏のリーダーシップによって、一般の人々にも伝わる「物語」としての歴史発信が強化されるはずです。2019年08月01日からの新体制において、私たちの宝である古墳や遺跡が、世界中の人々を魅了する文化コンテンツへと昇華していく姿が今から目に浮かびます。
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