滋賀県が2019年07月20日、中国の湖南省に観光や経済、さらには貿易の振興を力強く後押しするための新拠点「滋賀県誘客経済促進センター」をオープンさせました。琵琶湖という日本最大の湖を抱える滋賀県と、中国でも有数の広さを誇る洞庭湖(どうていこ)を有する湖南省は、1983年から深い友好の絆を育んできた間柄です。長年の信頼関係が、ついにビジネスや観光のさらなる発展を目指す実務的な拠点として結実しました。
今回の拠点が置かれたのは、湖南省の省都である長沙市(ちょうさし)の「長沙高新区国際科技商務プラットフォーム」内という、非常に戦略的な場所です。ここはアメリカやドイツといった主要国の政府機関が軒を連ねるビジネスの要衝であり、滋賀県の本気度が伺えるでしょう。運営体制についても、県から直接派遣された職員1名に加え、現地事情に精通したコーディネーターと事務員の計3名体制で、きめ細やかなサポート体制を整えています。
水環境ビジネスと「近江ブランド」の輸出を加速させる攻めの戦略
注目すべきは、滋賀県が誇る「水環境ビジネス」のマッチング支援です。水環境ビジネスとは、汚水処理や水の浄化、環境保全に関わる技術やサービスのことを指しており、環境問題が深刻化する中国市場での需要は非常に高いと言えます。琵琶湖を守り育ててきた滋賀県独自の高度な排水処理技術や環境ノウハウを、現地企業と結びつけることで、滋賀の技術力を世界へ発信していく大きなチャンスが訪れるのではないでしょうか。
また、経済振興のもう一つの柱となるのが、滋賀県が誇る豊かな県産食材の輸出促進です。SNS上でも「近江牛や地酒が中国で人気が出るかも!」「滋賀の食文化が世界に広まるのは嬉しい」といった、県民からの期待の声が多く寄せられています。高品質な食材を「滋賀ブランド」として確立し、現地の富裕層や飲食店へダイレクトにアピールする体制を構築することで、県内企業の販路拡大に直結する成果が期待されているようです。
筆者としては、今回の拠点開設は単なる自治体同士の交流を超えた、極めて合理的な一手であると考えます。これまでは文化的な「友好」が主軸でしたが、2018年度に友好提携35周年という節目を迎えたことで、実利を伴う「経済パートナー」へと関係を昇華させた点は評価に値します。地方自治体が自ら海外のビジネス最前線に立ち、地元企業の技術や味を売り込む姿勢は、今後の地域創生のロールモデルになるに違いありません。
新設されたセンターが、言葉の壁や商習慣の違いに悩む県内企業にとっての「頼れる案内人」となり、滋賀と中国を結ぶ新たな架け橋として機能することを切に願っています。観光客の誘致からハイテク技術の輸出まで、この小さな拠点がもたらす波及効果は、想像以上に大きなものとなるでしょう。2019年07月20日という日は、滋賀県の国際戦略が新たなフェーズに突入した記念すべき一日として刻まれるはずです。
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