最高時速300キロメートルという猛スピードで疾走する山陽新幹線。その揺れる車内で、100キログラムを超える重さのワゴンを押しながら、お客様に飲み物や軽食を提供するのが、JR西日本フードサービスネットに所属するパーサーと呼ばれるプロフェッショナルたちです。今回ご紹介するのは、車内販売一筋で16年以上のキャリアを持つベテランパーサー、倉成麻衣さん(39)。彼女でさえ、新幹線の車内での接客は「体力的にも大変」だと語っていらっしゃいます。
なぜなら、新幹線の車内販売は「一に安全、二にサービス、次に売り上げ」という明確な優先順位が定められているからです。パーサーの仕事は単なる販売員ではなく、お客様の安全を守る役割を担っています。たとえば、重いワゴンが乗客に接触しないよう細心の注意を払い、熱々の飲み物をお渡しする際には、万が一こぼれて火傷などの事故に繋がらないよう、極めて慎重な配慮が求められるのです。車内という特殊な環境で、この安全管理を徹底することは、まさに彼らの最も重要な使命だと言えるでしょう。
もちろん、ホスピタリティのプロとして、売り上げへの努力も決して怠りません。長年の経験から、倉成さんは「前列で売れると後列でも売れやすい」という独自の販売傾向を見出しています。そのため、少しでも迷っていそうな様子の乗客には積極的に声をかけ、窓側の遠い席のお客様にはアイコンタクトを交えるなど、乗客の皆様へアピールすることを大切にされています。お客様の小さなニーズも見逃さないこの姿勢こそが、極上の旅のひとときを提供する秘訣なのでしょう。
倉成さんは、大学時代から旅行が大好きで、新幹線に乗務するパーサーという職業に強い憧れを抱いていたそうです。2003年(平成15年)にJR西日本フードサービスネットに入社して以来、山陽新幹線のパーサーとして乗務を続けていらっしゃいます。2008年(平成20年)からはインストラクターも兼任され、現在は博多列車営業支店にご所属とのこと。憧れだった「旅のお手伝い」は、彼女にとって今も続くやりがいに満ちた日々であることが伝わってきます。
この記事が公開された2019年(令和元年)6月7日時点でのSNSでの反響を見てみると、「揺れる車内で100kg以上のワゴンを押すなんて、想像以上に重労働で驚いた」「安全への配慮が第一というのはさすがプロ」「パーサーさんの笑顔の裏には、こんな努力と気配りがあるのか」といった、パーサーの仕事の大変さと、安全に対する意識の高さに感銘を受ける声が多く見られました。パーサーという仕事は、単に商品を売るだけでなく、お客様の旅の思い出を彩り、安全を支える影の立役者であると改めて認識させられますね。
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