宮崎県が世界に誇るブランド和牛「宮崎牛」が、ついに新たな歴史の扉を開きました。2019年09月16日、JA宮崎経済連や宮崎県が出資する食肉加工メーカー「ミヤチク」は、同県都農町にある新都農工場から、欧州連合(EU)に向けて初となる出荷を完了したのです。今回旅立ったのは、ドイツ向けの約56キログラムとスペイン向けの約49キログラムで、合わせて約105キログラムという記念すべき第一歩となりました。
JA宮崎経済連の新森雄吾会長は、2019年04月に操業を開始したばかりの新工場において、これほどスピーディーにEU輸出が実現したことへの手応えを語っています。これまで宮崎牛の輸出先は米国や香港、台湾といった地域が中心であり、2018年度には過去最高となる470トンを記録していました。そこに美食の地であるヨーロッパが加わることは、ブランドの国際的評価をさらに高める絶好の機会となるに違いありません。
SNS上では、このニュースに対して「現地の高級レストランで宮崎牛が食べられるようになるのは誇らしい」「日本のサシの美しさは欧州でもきっと驚かれるはずだ」といった期待の声が続々と上がっています。これまで一部の地域でしか味わえなかった「和牛の頂点」が、世界基準の厳しい審査をクリアして海を渡る姿に、多くのファンが胸を熱くしている様子が伺えます。日本の食文化がまた一つ、世界を魅了する準備を整えたといえるでしょう。
厳格な「EU基準」を突破した衛生管理の結晶
EUへの食肉輸出を実現するためには、厚生労働省が定める「対EU輸出食肉の取扱要綱」という、極めてハードルの高い認定を受けなければなりません。これは、施設の設備や食肉の解体・分割方法、さらには徹底した衛生管理体制までを厳しくチェックする仕組みです。いわゆる「HACCP(ハサップ)」と呼ばれる、製造工程全体で危害を予測し管理する高度な衛生管理手法が、世界トップレベルで求められているのです。
新都農工場は、最新鋭の設備を備えることで2019年08月02日にこの厳しい認定を勝ち取り、ついに輸出の切符を手にしました。今後の計画としては、2019年度中にスペインやドイツ、英国を中心に合計1トンの出荷を目指し、翌2020年度には一気に10トンまで拡大する野心的な目標を掲げています。単なる輸出量の増加だけでなく、品質管理の徹底によって「MIYAZAKI-GEYU」の名を欧州全土に浸透させる狙いです。
編集者の視点から見れば、今回の進出は単なる商圏拡大以上の価値があると感じます。なぜなら、食文化にプライドを持つヨーロッパ市場で認められることは、和牛全体の資産価値を底上げすることに直結するからです。厳しい規制を逆手に取り、世界最高水準の衛生環境を証明したミヤチクの挑戦は、他の国内産地にとっても大きな希望となるはずです。宮崎の情熱が、ヨーロッパの食卓を彩る日はもうすぐそこまで来ています。
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