2019年10月16日、トランプ米大統領がトルコのエルドアン大統領へ送った一通の親書が公開され、世界中に衝撃が走っています。その内容は、国家元首間のやり取りとしては極めて異例な、感情を剥き出しにした強い言葉で埋め尽くされていました。「バカなことはするな」という直截的な表現は、外交の常識を覆すインパクトを放っています。
この書簡が送付されたのは、トルコがシリア北部での軍事作戦を開始した2019年10月9日のことです。トランプ氏はまず、シリアからの米軍撤退を表明しましたが、これが結果的にトルコ軍の侵攻を許したとの厳しい批判を浴びていました。今回の親書公表には、こうした「侵攻を誘発した」という世論の反発をかわす狙いがあると推測されます。
経済破壊と「悪魔」の烙印を突きつける強烈な警告
親書の中でトランプ氏は、トルコが敵対視するクルド人主体の武装勢力「シリア民主軍(SDF)」の司令官からの書簡を内密に同封するという、驚きの外交テクニックを披露しました。クルド人勢力は過激派組織IS(イスラム国)掃討作戦において米軍の重要なパートナーでしたが、トルコ側にとってはテロ組織とみなされる複雑な存在です。
さらにトランプ氏は、軍事作戦の中止を迫るために経済制裁という強力なカードを突きつけています。「私はトルコの経済を破壊する責任を負いたくない」と述べ、もしも凄惨な殺戮が繰り返されるならば、エルドアン氏は「歴史上、永久に悪魔とみなされる」とまで断言しました。外交的な社交辞令を一切排除した、まさに最後通牒とも取れる激しいトーンです。
SNS上では、このあまりにストレートすぎる文面に対して「まるで中学生の喧嘩のような文章だ」と驚く声や、「トランプ氏らしい、駆け引きなしの本音外交だ」と支持する意見など、賛否両論が渦巻いています。一国のリーダーがここまでの言葉を選ぶ背景には、自身の決断が招いた混乱をなんとか収束させたいという、強い焦燥感も透けて見えます。
個人的な見解を述べれば、この親書は予測不能なトランプ外交の極致と言えるでしょう。伝統的な外交プロトコル(国家間の儀礼)を破壊することで相手を揺さぶる手法は、短期的な抑止力にはなるかもしれません。しかし、同盟国との信頼関係を維持する観点からは、あまりに危うい博打のようなコミュニケーションであると感じざるを得ません。
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