銀行員からチョコレートの魔法使いへ!ショコラボが描く「月収10万円」で障害者雇用の常識を変える未来

横浜の地から、甘い香りと共に福祉の常識を塗り替える挑戦が続いています。京急百貨店などで高い人気を誇るチョコレートブランド「ショコラボ」を運営する一般社団法人AOH。その舵取りを担うのが、会長の伊藤紀幸さん(54歳)です。彼の目指す場所は、単なる美味しいお菓子作りにとどまりません。障害を持つ方々が自立して暮らせる「月給10万円」という、業界では驚異的な目標を掲げて活動しています。

工房では、知的障害などを持つ約40名のプロフェッショナルたちが、型への繊細な流し込みから検品、包装までを驚くほど丁寧に進めています。主力商品の「ショコラ棒」や愛らしい「ショコラdeパンダ」は、その高い品質から多くのファンを魅了してきました。SNSでも「手作りならではの温かみがある」「プレゼントに最適」と、福祉作業所の製品という枠を超えたブランド力が大きな話題を呼んでいるのです。

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父としての願いが原動力!平均工賃の壁を打ち破る挑戦

伊藤さんがこの道を志したのは、2012年のことでした。当時銀行員だった彼は、自身も障害を持つ息子・健太朗さんの将来を案じていました。「就職しても月給は3000円」という学校関係者の言葉に衝撃を受け、それならば自分で自立できる場を作ろうと一念発起したのです。これは、多くの障害児を持つ親御さんにとって、希望の光のような決断だったに違いありません。

ここで一つ、福祉の仕組みである「就労継続支援B型事業所」について解説しましょう。これは、一般企業での勤務が困難な方に、体調やペースに合わせて働く場を提供する施設です。しかし、2017年度の全国平均工賃は月額1万5600円程度と、自立にはほど遠いのが現状でした。それに対し、AOHは現在3万3000円を支給しており、設立当初の「1日1000円」から着実に実績を積み上げています。

私が最も感銘を受けたのは、伊藤さんが掲げる「10万円」という数字の根拠です。家賃や生活費を支払っても、自分の趣味や娯楽にお金を使える喜びを感じてほしいという、一人の人間としての尊厳を重んじる姿勢に深く共感します。働いて得たお金で好きなものを買う。この当たり前の幸せを、誰もが享受できる社会こそが、本来あるべき姿ではないでしょうか。

新工房「ショコラ房」始動!世界へ広がるボーダレスな夢

2019年07月には、新たな挑戦の拠点となる「ショコラ房」がオープンしました。ここではカカオ豆を直接輸入し、焙煎から板チョコまで一貫して製造する「ビーントゥバー」のスタイルを取り入れています。これによりジェラートなどの新商品も誕生し、なんと一部の従業員には最低賃金法の適用も実現しました。10万円という大きな目標に向かって、着実に歩みを進めていることが伺えます。

伊藤さんの夢は、もはや日本国内にとどまりません。将来的には海外にカカオ農場を設立し、現地の障害者にも雇用の場を提供したいと考えています。国籍も障害の有無も関係なく、誰もが平等に輝ける場所を創るという彼の信念は、チョコレートのように人々の心を温かく溶かしていくことでしょう。2019年11月02日現在、この甘く優しい革命はまだ道半ばですが、確実に世界を変え始めています。

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