シンガポールを拠点に急成長を遂げる格安ホテル運営会社、レッドドアーズが、東南アジアの主要6市場を制覇するための壮大な挑戦を開始しました。2019年11月04日現在、同社は楽天や韓国の金融大手から約76億円という巨額の資金を調達し、2023年までの株式上場を視野に入れた強気の拡大戦略を描いています。SNS上では「バックパッカーだけでなく出張者にも嬉しい選択肢が増える」と期待の声が上がっており、その勢いは増すばかりです。
同社が提唱するのは、既存の個人経営ホテルとフランチャイズ契約を結び、最先端のデジタル技術で再生させるモデルです。特筆すべきは、人工知能を活用した「ダイナミック・プライシング」の導入でしょう。これは需要や競合の状況に応じて宿泊料金をリアルタイムで変動させる仕組みのことで、航空業界などで一般的だった手法を格安ホテルの世界に持ち込みました。ITを駆使して運営を効率化し、小規模な宿でも収益を最大化できる点が強みとなっています。
特定都市への集中展開で利便性を追求
アミット・サベルワルCEOは、自社を「ホテル界のセブンイレブン」と自称しています。これは、かつて個人経営の酒屋などがコンビニチェーンへと進化したように、街中に溢れる安宿を一つのブランドで統一し、どこでも一定の品質と利便性を提供するという戦略を指しています。特に「1都市50軒以上」という極めて高い密度での展開を目指しており、このドミナント戦略によってブランド認知度を一気に高める計画です。
東南アジアには、大手チェーンに属さない中級以下のホテルが12万軒も存在すると言われています。レッドドアーズは、2020年からはタイ市場に総力戦を挑む構えを見せており、バンコクを筆頭にチェンマイやプーケットといった主要観光地へ進出する予定です。2023年までにホテル総数を1万5000軒にまで増やすという目標は非常に野心的ですが、中間層の旅行需要が爆発的に伸びている現在の市場環境を考えれば、決して夢物語ではないでしょう。
宿敵OYOとの激突と独自の地域密着戦略
市場の覇権を争う上で、最大の壁となるのがインドの巨大ユニコーン企業、OYO(オヨ)です。ソフトバンク・ビジョン・ファンドから莫大な資金供給を受けるOYOに対し、レッドドアーズは東南アジアという地域に特化した「きめ細やかなローカライズ」で対抗しています。私は、この「現場の裁量を重視する姿勢」こそが、多様な文化が混在する東南アジア市場で勝利を収めるための鍵になると確信しています。
その象徴的な事例が、ベトナムでの柔軟な対応です。ベトナムでは事前の予約なしに直接訪れ、その場で値切り交渉を行う顧客が多いため、同社はあえてAIによる自動価格設定を一部停止しました。代わりにフロントスタッフがその場の状況で価格を決められるシステムへと切り替えたのです。機械的な効率性だけを追わず、現地の商習慣に寄り添うこの戦略は、地域密着型を掲げるレッドドアーズの真骨頂と言えるでしょう。
実際に利用した旅行客からは「部屋は簡素だが清潔で、無料Wi-Fiも完備されており非常に実用的」との評価を得ています。2022年までに域内の海外訪問客数は1億5500万人に達すると予測される中、この格安ホテル革命が旅の形をどう変えていくのか目が離せません。大手の攻勢が激化するこの正念場で、同社がどのような独自の価値を提示し続けるのか、編集部としてもその手腕に注目していきたいところです。
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