福岡県朝倉市で農業の新たな可能性を切り拓く兵四郎ファームが、米粉事業をかつてないスピードで加速させています。近年、健康意識の高い層を中心に「グルテンフリー」という食事療法が注目を集めているのをご存知でしょうか。これは小麦に含まれるタンパク質の一種であるグルテンを摂取しないスタイルで、欧米を筆頭に世界的なトレンドとなっています。
こうした背景を受け、同社は農業・食品産業技術総合研究機構と手を取り合い、米粉専用の画期的な新品種「笑みたわわ」の本格的な栽培に乗り出しました。SNS上でも「米粉パンは膨らみにくいイメージがあったけれど、これなら期待できそう」といった、健康と美味しさを両立させたいユーザーからの熱い視線が注がれています。
驚異の細かさが生む「ふわふわ」の魔法
新品種である「笑みたわわ」の最大の特徴は、その粒の細かさに隠されています。一般的な主食用米である「ヒノヒカリ」などと比較すると、製粉後の粒径は約4分の1にあたる30マイクロメートルという驚異的な細かさを実現しました。マイクロとは100万分の1を表す単位ですが、この微細な粉末がパンや菓子を焼いた際の見事な膨らみを実現するのです。
さらにこの品種は、優れた製粉特性を持つ「ミズホチカラ」に、収穫時期を早められる「わせ種」を掛け合わせて誕生しました。2019年11月現在、農林水産省への品種登録出願が受理されたことで、生産体制は一気に本格化しています。生産効率と加工のしやすさを兼ね備えたこのコメは、まさに次世代の米粉ビジネスを支える主役と言えるでしょう。
現在、自社で展開している米粉100%のパンケーキミックスは、発売直後から飛ぶような売れ行きを見せています。地元福岡の有名菓子メーカーへの原料供給も決定しており、近いうちに私たちの手元に新しいスイーツとして届く予定です。百貨店や道の駅、オンラインショップなど、手に取れる場所が着実に広がっているのは嬉しい限りですね。
世界を視野に入れた食のイノベーション
兵四郎ファームの視線は、国内のみならず広く海外の市場にも向けられています。2022年までには「笑みたわわ」の作付面積を現在の10倍以上となる10ヘクタールまで拡大する計画を立てており、その勢いは止まりません。今後はパンや菓子だけでなく、日本食の代表格でもある麺類への活用も見据えて開発が進められています。
個人的には、こうした日本の高度な農業技術が「グルテンフリー」という世界のニーズに合致したことは、非常に誇らしい展開だと感じます。単なる代用品としての米粉ではなく、米粉だからこそ出せる食感や風味を追求する姿勢は、日本の農業が生き残るための道標になるはずです。朝倉から世界へ羽ばたくこの挑戦を、今後も追い続けていきたいと思います。
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