精密モーターの開発で世界的に知られるシナノケンシが、製造現場の常識を塗り替える画期的な一歩を踏み出しました。長野県上田市に拠点を置く同社は、2019年11月19日、食品工場などの繊細な作業に特化した新型ロボットハンドの販売開始を大々的に発表したのです。
今回の目玉となる新製品「ARH305A」には、手先に3本の爪が装備されています。一般的に流通しているロボットハンドは2本爪が主流ですが、あえて3本にすることで、不定形で柔らかい物体でも安定して包み込むように保持できるのが最大の特徴と言えるでしょう。
SNS上では、この発表を受けて「ついにロボットが、おにぎりや卵を潰さず運べる時代が来るのか」といった期待の声や、「精密モーター技術の結晶が現場に降りてくるのは熱い」という技術者目線のポジティブな反応が相次いで寄せられています。
特筆すべきは、同社が長年培ってきた精密モーター技術の応用です。これにより、対象物を「つかむ力」や「動作スピード」を極めて細やかに調整できるため、これまでは熟練の人間が手作業で行っていた食品や化粧品、医薬品のピックアップ作業の自動化が期待されます。
世界基準の認証を獲得し、2026年度の飛躍を見据える
「ARH305A」は、協働ロボット(人間と同じ空間で一緒に作業ができるロボット)の世界的リーダーであるデンマークのユニバーサルロボット社から、公式の適合認証も獲得しました。この「UR+」認証は、高い互換性と信頼性が担保されている証となります。
シナノケンシは、3年後を目処に年間1,000台の販売を目標として掲げています。現在はロボット事業の売上はほぼゼロに近い状態ですが、ここを起爆剤として2026年度には20億円規模の事業へと一気に成長させる野心的な経営方針を打ち出しました。
筆者の見解としては、深刻な人手不足に悩む日本の製造業において、この「優しくつかむ」技術は救世主になると確信しています。単に効率を追うだけでなく、人間の指先の感覚を再現しようとする試みは、今後の産業ロボット界のスタンダードになるはずです。
今後は、より重量のある物に対応した大型モデルの開発も予定されており、ラインアップの拡充から目が離せません。2019年11月20日、私たちは日本のものづくりが新たなステージへと突入する瞬間に立ち会っているのかもしれません。
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