富士山の森で繰り広げられる「キノコと動物」の知恵比べ!毒を避ける生存戦略の不思議

2019年11月22日、富士山の頂には白く美しい雪が降り積もっていますが、そのふもとに広がる広大な森は、まさにキノコたちの全盛期を迎えています。秋の深まりとともに、動物学者である今泉忠明氏のカメラには、興味深い光景が記録されていました。そこには、小さなニホンリスが熱心にキノコを頬張る姿が映し出されていたのです。

森のキノコと聞くと、私たち人間は「毒キノコではないか」と身構えてしまいますよね。実際、SNSなどでも「野生動物はどうやって毒を見分けているのか」という疑問の声が多く上がっています。一見すると、彼らは本能的に危険を察知しているようにも思えますが、実はそこには動物たちの並々ならぬ「経験」に基づいた生存戦略が隠されています。

よく「ネズミは知恵があるから毒餌に引っかからない」と言われますが、これは厳密には知恵というよりも「新奇恐怖(ネオフォビア)」と呼ばれる、初めて見るものに対する強い警戒本能です。ネズミは未知の食べ物を見つけると、1週間ほど様子を伺ったあとに、まずはほんの一口だけ試食をします。この慎重な振る舞いこそが、彼らの命を繋ぐ鍵なのです。

この「ほんの少しだけ齧る」という行動により、万が一毒が含まれていても、死に至るほどの重症を負うことは稀です。ひどい目に遭った記憶は、彼らの脳に強烈に刻まれ、二度とその食べ物には手を出さなくなります。こうした経験の積み重ねが、周囲からはまるで高度な知恵を持っているかのように見えるというわけですね。

秋の富士山を歩いてみると、傘の一部に小さな齧り跡が残されたキノコを数多く見つけることができます。これは野生動物たちが、そのキノコが食べられるかどうかをテストしている最中なのかもしれません。そう考えると、静かな森の中で動物たちが一生懸命に「食の安全確認」を行っている様子が目に浮かび、どこか微笑ましい気持ちになります。

しかし、ここで一つ考えなければならないことがあります。2019年11月22日現在、多くの人々が収穫の喜びを求めて山に入り、キノコ採りに夢中になっています。ですが、森のキノコは生態系において、動植物の死骸などを分解して土に還すという、非常に重要な「分解者」の役割を担っている存在です。

動物たちにとって、キノコは冬を越すための貴重なエネルギー源である木の実や果実と同じくらい、欠かせない食料である可能性があります。私は、人間が楽しみのためにすべてを採り尽くすのではなく、森の住人である動物たちの分を少しでも残してあげる心の余裕を持つべきだと強く感じます。共生の精神こそが、豊かな自然を守る第一歩ではないでしょうか。

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