経済協力開発機構(OECD)が実施する国際的な学習到達度調査、通称「PISA(ピザ)」の2018年調査結果が、2019年12月4日に公表されました。今回の調査で日本は「科学的リテラシー」において、参加国・地域の中で5位という結果になっています。前回調査の2位から順位を下げる形となり、文部科学省は今後この変動要因について詳しく分析を進める方針を固めました。
特に注目すべきは、これまでトップを走っていたOECD加盟国内での順位も2位へ後退し、首位の座をエストニアに譲った点でしょう。エストニアは国策としてIT(情報技術)の活用に注力しており、教育現場でのデジタル化が功を奏した形です。日本の得点は529点と前回より9点減少しましたが、依然として世界トップクラスの水準を維持していることは間違いありません。
記述力の改善とSNSで話題の「IT活用力」
一方で、ポジティブな兆しも見えています。全114問におよぶ平均正答率は57%に達し、加盟国平均を8ポイントも上回りました。文科省の分析によれば、自分の考えを文章で表現する「記述力」には確かな改善が見られるといいます。ネット上の反応を見ても、思考を論理的に組み立てる力が高まっている点については、一定の評価を与える教育関係者が多いようです。
しかし、SNSではデジタル端末の扱いに慣れていない層への懸念も噴出しています。PISAは今回からコンピュータ形式のテストを導入しており、操作の習熟度がスコアに影響した可能性も否定できません。タイピング速度や画面上での情報整理といった、現代的なリテラシーへの対応が、今後の日本教育における大きな焦点となってくることが予想されるでしょう。
深刻な「理系離れ」とジェンダーギャップの壁
調査と同時に行われた意識調査からは、日本の教育界が直視すべき厳しい現実が浮き彫りとなりました。成績が優秀な生徒であっても、30歳になった時に「科学・工学分野の専門職」に就いていると回答した割合はわずか5.6%に留まっています。これは世界各国の平均である20.6%を大きく下回る数字であり、将来のイノベーションを担う人材確保に黄信号が灯っている状態です。
さらに深刻なのが性別による意識の差です。男子が7.5%であるのに対し、女子は3.4%と極めて低い水準にあります。編集部としての見解ですが、テストの点数が高くても「将来の夢」に繋がっていない現状は、学習の目的意識を揺るがす大問題ではないでしょうか。単なる知識の習得だけでなく、科学の楽しさや社会での役割を伝えるキャリア教育の抜本的な強化が、今こそ求められています。
コメント