オフィスでのデスクワークが続くと、どうしても集中力が途切れてしまいがちですよね。大手ゼネコンの鹿島が、そんなビジネスパーソンの悩みを解決する画期的なリフレッシュルームを開発しました。2019年11月19日、同社が発表した「そと部屋」は、屋内にいながらまるで野外にいるような心地よさを提供する次世代の休息空間なのです。
この「そと部屋」の最大の特徴は、独自の音響システムにあります。建物の屋上に設置した集音マイクを通じて、リアルタイムの環境音を室内に届ける仕組みです。都会の真ん中であっても、空には鳥がさえずり、季節ごとに虫の音が響いています。こうした「生」の音を取り入れることで、録音された自然音とは比較にならないほどの圧倒的なリアリティを実現しました。
もちろん、不快な騒音への対策も万全です。車の走行音や電車の音といった大きなノイズは、プログラムによって自動でカットされます。その結果、本来は聞こえにくい虫の声や鳥のさえずりだけが室内に心地よく強調されるのです。SNS上では「オフィスにいながら季節を感じられるのは贅沢」「録音じゃないライブ感がすごい」と、その斬新な発想に期待の声が寄せられています。
マイクの形状にも職人技が光っています。風の音がマイクに響いてノイズにならないよう、二つの四角錐を合わせたような特殊なデザインを採用しました。これにより風の抵抗を上手く逃がし、ピュアな音の採集を可能にしています。自然の移ろいをそのまま室内に再現しようとする、鹿島の「リアル」への飽くなき追求が感じられる技術といえるでしょう。
視覚の錯覚を利用した空の再現技術「スカイアピアー」
音に加えて驚くべきは、天井に映し出される空の演出です。「スカイアピアー」と呼ばれる照明装置は、人間の視覚特性を巧みに利用しています。通常、人は物体を見る際にピントを合わせますが、無限に広がる空には焦点を合わせる対象がありません。この特殊な認識メカニズムを再現するため、あえて天井の下に黒いパイプ状の照明を設置しているのです。
この黒い装置に視線を誘導することで、背景となる天井が遠くの空のように感じられる「視覚の錯覚」が生まれます。単に青いライトで照らすのとはわけが違います。晴天から夕焼けまで複数の空模様が用意されており、見上げた瞬間にふっと心が解き放たれるような解放感を味わえるはずです。手動での切り替えですが、その時の気分に合わせた空を選べる楽しさがあります。
この「そと部屋」の実力は、科学的にも裏付けられています。慶応大学や産業医科大学との共同実験では、被験者に長時間のタイピング作業を行わせ、その後の休憩効果を検証しました。その結果、自席で休むよりも圧倒的にリラックス効果が高く、実際の屋上庭園で過ごすのに近い数値が得られたそうです。移動の手間なく、屋上並みの癒やしを得られるのは大きな魅力です。
個人的な見解ですが、働き方改革が叫ばれる中で、こうした「質の高い休息」への投資は今後ますます重要になるでしょう。効率だけを求めるのではなく、五感を刺激して人間本来のバイオリズムを取り戻す。鹿島の「そと部屋」は、これからのオフィスビルにおけるスタンダードな設備になっていく予感がします。2019年11月19日の発表を受け、今後の普及が非常に楽しみな技術です。
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