賃貸住宅市場がいま、かつてないほどの「冬の時代」に直面しているのをご存知でしょうか。大手不動産会社の東建コーポレーション株式会社は、2019年11月21日、この厳しい局面を乗り切るための大胆な組織改革に乗り出しました。同社は都市部における支店の枠組みを超え、広域エリアをカバーする「建築施工センター」を新設することで、これまで各拠点に分散していた建築部門の人員を集約し、業務の最適化を急いでいます。
ネット上でも「建築現場の効率化は急務」「柔軟な働き方が求められる時代だ」といった、業界の先行きを注視する声が上がっています。特に注目されているのが、2019年11月01日に愛知県小牧市に開設された新しいセンターです。ここには近隣3支店から約20名の精鋭が集結しました。小牧インターチェンジにほど近いという利便性を活かし、愛知県北部の施工物件を一括管理することで、現場への直接移動を可能にするなど、移動コストの削減も期待されています。
チーム制への移行で若手の未来を育む
今回の組織再編における真の狙いは、単なる拠点集約に留まりません。東建コーポレーションは、従来の「1現場1担当制」という属人的なスタイルを廃止し、3名程度の「チーム制」による施工管理へと舵を切りました。これは、特定のスタッフに過度な負担が集中する「平準化」の問題を解消するための画期的な試みと言えるでしょう。ベテランと若手がタッグを組むことで、技術継承をスムーズに行う仕組みが構築されています。
特に興味深いのは、ベテラン社員に「若手の長時間労働を防止する」という役割を持たせた点です。建設業界で課題となっているワークライフバランスの改善に、組織として正面から取り組む姿勢が伺えます。すでに2019年10月には関東地方にも同様の拠点が置かれ、これまでに合計4カ所が稼働を開始しました。さらに2020年の春までには、大阪府への進出も計画されており、全国規模でこの効率化モデルが加速していく見通しです。
デジタル活用と多角化経営で逆境を跳ね返す
営業現場においても、テクノロジーを駆使した「働き方改革」が進行しています。同社は、ローンの借り入れ状況を入力するだけで、アパート経営の収益計画や損益計算書を瞬時に作成できる自動提案システムを導入しました。これにより、煩雑な事務作業から解放された営業担当者が、よりクリエイティブな顧客提案に専念できる環境が整っています。ITの力で生産性を底上げしようとする、同社の強い意志が感じられる施策です。
背景には、2019年05月から2019年07月期の建設部門受注高が、前年比で17%も減少したという厳しい現実があります。他社で発覚した施工不良問題などの余波を受け、金融機関の融資審査が厳格化したことが、市場全体を冷え込ませているのです。左右田稔社長が語る「これまでの延長線上ではじり貧だ」という言葉には、現状維持をよしとせず、ホテル事業や高級マンション開発といった多角化で活路を見出す覚悟が滲んでいます。
個人的な視点ではありますが、こうした「守り」の効率化と「攻め」の多角化を同時に進める戦略は、不透明な時代を生き抜くための企業の鏡だと言えるでしょう。特に、個人のスキルに頼りがちだった現場監督の仕事をチーム制へと移行させた判断は、労働環境の健全化だけでなく、施工品質の安定にも寄与するはずです。東建コーポレーションが仕掛けるこの「冬の時代」の処方箋が、業界全体のスタンダードになる日も近いのかもしれません。
コメント