かつて欧州の牽引役として絶好調を誇ったドイツ経済に、不穏な影が差し始めています。世界規模で広がる保護主義の波により、得意の輸出が振るわず、成長の鈍化が鮮明になってきました。貿易の動向に最も敏感な物流業界の視点から、この現状をどう捉えるべきなのでしょうか。
欧州の物流最大手であるDBシェンカーのヨッヘン・テーベスCEOは、2019年11月25日現在の景況感について、慎重ながらも力強い見解を示しています。同氏によれば、景気の先行指標とされる「航空貨物」の動きに厳しさが見られるものの、決して悲観するような状況ではないといいます。
物流の現場から読み解く、世界経済の現在地
「航空貨物」とは、スピードが求められる高付加価値商品を飛行機で運ぶ物流の形態を指します。この動きが鈍ると他の荷動きも滞るというのが業界の経験則ですが、テーベス氏は東欧や中国、そして急成長を遂げるアフリカ市場に依然として強い期待を寄せています。
ドイツの屋台骨である自動車産業が構造転換の荒波に揉まれていることは事実です。しかし、2019年11月25日時点の現場実感として、失業率は低水準を維持しており、個人消費も安定しています。ビジネスの最前線では「景気後退(リセッション)」という言葉はまだ遠い響きのようです。
SNS上では「物流王者の冷静な分析に少し安心した」という声がある一方で、「航空貨物の落ち込みはリーマンショック前夜を彷彿とさせる」といった警戒感も渦巻いています。人々の不安をよそに、同氏はドイツ企業が持つ本来の「イノベーション能力」を固く信じている様子が伺えます。
保護主義は「ピンチ」ではなく「チャンス」へ
米国の保護主義、つまり自国の産業を守るために輸入を制限する動きは、自由貿易を掲げる企業にとって大きな逆風です。しかしテーベス氏は、貿易取引が消えるのではなく、単に「生産拠点が移動するだけだ」と喝破します。物流会社にとっては、新たなルートを開拓する好機なのです。
英国のEU離脱という歴史的な転換点に対しても、DBシェンカーは着々と準備を進めています。2019年11月25日現在、ドーバー海峡付近での倉庫確保や人員増強を行い、どのようなシナリオにも対応できる体制を整えました。この徹底したリスク管理こそが、巨大組織を支える強みと言えるでしょう。
私は、物流とは経済の血液であると考えます。血流が滞りかけている今、政府の財政出動に頼るのではなく、民間企業が自らの足で新たな市場を切り拓こうとする姿勢には深く共感します。変化を恐れず、世界地図を塗り替えるくらいの気概が、今の日本企業にも求められているのかもしれません。
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