【幼保無償化の落とし穴】同じ園なのに数十万円の差?「3歳児格差」の衝撃と制度の矛盾

2019年10月1日から華々しくスタートした「幼児教育・保育の無償化」ですが、現場ではいま、保護者を困惑させる深刻な問題が浮き彫りになっています。同じ施設に通い、同じような保育サービスを受けているにもかかわらず、家計への負担が年間に数十万円も変わってしまう「3歳児格差」が発生しているのです。

この不条理な格差の背景には、日本の保育現場における複雑な「縦割り行政」の壁が存在しています。小学校入学前の子供たちが通う場所には、厚生労働省が管轄する「保育園」、文部科学省が管轄する「幼稚園」、そして両方の機能を併せ持ち内閣府が管轄する「認定こども園」の3種類があり、それぞれルールが異なっています。

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誕生日に左右される?無償化タイミングのズレ

無償化の対象は原則として3歳からですが、この「3歳」の定義が施設によってバラバラなのが問題の核心です。保育園の場合は「4月1日時点で3歳に達しているクラス」から無料になるのに対し、幼稚園では「3歳になった当日(満3歳)」から即座に無料化が適用される仕組みになっています。

具体例を挙げると、2020年05月に生まれたお子さんは2023年05月に3歳の誕生日を迎えます。この時、幼稚園ならその日から保育料がタダになりますが、保育園では翌年2024年03月まで「2歳児クラス」として料金を支払い続けなければなりません。この数ヶ月の差が、家計に重くのしかかるのです。

SNS上でも「誕生日が早い子ほど損をするなんて納得がいかない」「同じ園にいるのに、隣の家の子は無料でうちは有料なのはなぜ?」といった悲痛な声が相次いでいます。制度の隙間に落ちてしまった保護者たちの間では、不公平感という名の火種が急速に広がっているのが現状でしょう。

知恵を絞る保護者と困惑する現場の行方

特に影響が大きいのは、多様な預け方が混在する「認定こども園」です。保育園枠で預けている親が、少しでも負担を減らそうと「幼稚園枠」へ変更を希望するケースが急増しています。2019年12月01日時点の報告では、九州や愛知県の園ですでに枠移動を選択する家庭が続出しているといいます。

専門用語で「認定こども園」とは、保護者の就労状況に関わらず利用できる施設を指しますが、中身は複雑な制度のパッチワークです。内閣府は「制度設計の違いから生じるもので致し方ない」と静観する構えですが、現場の園長先生たちは、説明に窮する日々の中で保護者同士のトラブルを危惧しています。

編集者の視点から言えば、子供を育てるという尊い営みに、行政の管轄都合で格差を持ち込むのはあまりに酷な話です。少子化対策を謳うのであれば、まずはこうした「生まれ月による不利益」を解消し、保育園側の基準を幼稚園に合わせるような柔軟な法整備が、一刻も早く求められるのではないでしょうか。

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