2019年12月1日に幕を閉じたLPGAツアー選手権リコー杯。宮崎の地で開催された今シーズンの最終戦は、まさに歴史に残る名勝負となりました。賞金女王の座をかけた争いは、鈴木愛選手、申ジエ選手、そして「シブコ」の愛称で親しまれる渋野日向子選手の3名による熾烈な三つ巴の展開です。特に注目を集めたのは、女子ツアー史上初となる「平均ストローク60台」を叩き出した申選手の安定感と、それを迎え撃つ日本人選手たちの熱きプライドでした。
SNS上では「最終戦まで誰が勝つか分からないワクワク感がすごい」「シブコの笑顔に元気をもらえる」といった声が溢れ、ゴルフファンの熱狂は最高潮に達しています。最終戦前のランキングでは鈴木選手が首位を走り、渋野選手は1511万円という差を追いかける3位の位置につけていました。戴冠には優勝か単独2位が必須という厳しい条件でしたが、渋野選手はあえて「女王への意識はない」と無欲の姿勢を貫き、自分らしく戦うことを選択したのです。
悔しさを糧に覚醒した「令和のシンデレラ」
渋野選手の快進撃を支えたのは、2019年9月15日に閉幕した日本女子プロ選手権での苦い経験かもしれません。メジャー連勝への重圧から33位に沈み、連続オーバーパーなしの記録も途切れたことで、彼女の心には変化が訪れました。肩の荷が下りたのか、その後の大会では8打差をひっくり返す大逆転勝利を飾るなど、驚異的な勝負強さを発揮します。11月の予選落ちで流した悔し涙も、次戦での優勝という最高の結果へ繋げるための力に変えてみせました。
彼女の真骨頂を象徴する言葉が「バウンスバック」です。これはボギー以上の悪いスコアを叩いた直後のホールで、すぐさまバーディー以上を奪い返す率を指す専門用語です。ミスを引きずらない精神的な強さ、つまり「不屈の反発力」において彼女は今季断トツの数字を記録しました。現在はグリーン周りのアプローチ技術を課題として挙げていますが、これは裏を返せばさらなる「伸びしろ」に他なりません。21歳の若き才能が、来季どこまで進化するのか期待が高まります。
圧倒的な強さを見せた女王・鈴木愛の執念
渋野選手の前に立ちはだかり、2年ぶり2度目の女王に返り咲いたのが鈴木愛選手です。左手首の故障による欠場を乗り越え、2019年11月には史上2人目となる3週連続優勝という異次元の記録を樹立しました。年間7勝という数字は、かつての不動裕理選手やイ・ボミ選手に並ぶ伝説的な記録といえるでしょう。怪我という逆境を撥ね退けて終盤に見せた怒涛のラッシュは、まさに実力者の証明であり、多くのファンがその勝負根性に脱帽しました。
鈴木選手は来シーズン、国内での女王守備はもちろん、海外メジャーへの積極的な挑戦も視野に入れています。世界ランキングを上げ、東京五輪代表の座を勝ち取るという大きな目標に向け、彼女の進化は止まりません。新星・渋野選手の台頭と、盤石の強さを誇る鈴木選手の激突は、日本女子ゴルフ界に新たな黄金時代が到来したことを確信させてくれます。女王の称号を手にした翌年こそが真価を問われる時。2020年の彼女たちの競演から目が離せません。
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