2019年12月15日、厚生労働省は深刻化する児童虐待とドメスティックバイオレンス(DV)の密接な関係を重視し、全国の児童相談所と配偶者暴力相談支援センターの連携状況に関する実態調査に乗り出す方針を固めました。近年、痛ましい虐待事件が相次ぐ中で、家庭内での暴力が複雑に絡み合う現状が浮き彫りとなっています。政府はこの調査を通じて現場の課題を洗い出し、2つの機関が手を取り合って被害者を守り抜くための新たな指針を策定する考えです。
SNS上では「ようやく動き出したか」「縦割り行政の壁を壊してほしい」といった期待の声が上がる一方で、「もっと早く対策を講じるべきだった」という厳しい意見も散見されます。特に、母親がDVの支配下にあることで子供への加害を止められないという構造的な問題に対し、行政がどこまで踏み込めるのか注視されているのです。2020年1月にも開始されるこの調査は、現場の声を直接拾い上げることで、机上の空論ではない、血の通った支援体制の構築を目指すものと言えるでしょう。
過去の教訓を未来の守りへ変えるための挑戦
今回の決定の背景には、日本中を震撼させた2つの悲劇があります。2018年3月に東京都目黒区で発生した船戸結愛ちゃんの事件、そして2019年1月に千葉県野田市で起きた栗原心愛さんの虐待死事件です。これらの事件の検証報告書では、父親から母親へのDVが強く疑われていたにもかかわらず、児童相談所側との連携が不十分であったことが指摘されました。加害者の支配が及ぶ家庭内で、母親自身も被害者である場合に、いかにして親子をセットで保護するかが鍵を握ります。
2019年6月に成立した改正児童虐待防止法では、親による体罰禁止とともに、関係機関の連携強化が明文化されました。2020年4月の施行を前に、今回の実態調査は制度の実効性を高める極めて重要なステップです。私は、単なる情報の共有に留まらず、DV被害者である親が「助けて」と言える環境を整えることこそが、結果として子供の命を救う最短ルートになると確信しています。罰するだけでなく、家庭全体を包み込む包括的な視点が今こそ求められているのです。
現在、心理的虐待の中でも「面前DV(子供の前で家族に暴力を振るうこと)」が急増しており、2018年度の相談件数は全体の半数を超える約8万8000件に達しました。子供の心に深い傷を負わせるこの行為は、身体的暴力と同等、あるいはそれ以上に深刻な影響を及ぼします。厚労省が全国215カ所の児童相談所と287カ所のセンターから抽出して行うアンケートの結果は、日本の福祉の在り方を大きく変える可能性を秘めています。
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