北海道のビジネスシーンがいま、かつてないほど熱く北の大地を目指しています。2019年12月04日現在、道内企業が熱烈な関心を寄せているのは、サハリンなどの極東地域を越えた先にあるシベリアです。その中心都市であるノボシビルスクは、世界中から「ロシア版シリコンバレー」として注目を浴びるイノベーションの聖地へと変貌を遂げています。
2019年11月中旬、現地を訪れた記者が目にしたのは、午前中でもマイナス27度という驚異的な極寒の世界でした。バケツの水を撒けば瞬時に氷へ変わる過酷な環境ですが、そこで繰り広げられる経済交流の熱気は本物です。SNS上でも「北海道の技術がロシアの頭脳と融合するのは胸が熱い」「極寒の地同士、相性が良さそうだ」といった期待の声が数多く寄せられています。
AI研究で国境を超える!産学連携の新たな形
2019年11月19日、ノボシビルスク大学で開催された経済交流会では、最先端のIT技術を巡る活発な議論が交わされました。北海道大学の川村秀憲教授が提唱するAI(人工知能)を活用したビジネスモデルは、現地の研究者たちを大いに刺激したようです。AIとは、コンピューターに人間のような学習・判断能力を持たせる技術で、現代の産業構造を根底から変える可能性を秘めています。
札幌のAIベンチャーである調和技研の中村拓哉社長は「研究に国境はない」と断言し、現地への拠点開設も視野に入れていることを明かしました。ロシア側もこれに呼応しており、経済制裁などの影響で優れた技術を国外へ展開しにくい現状を、日本企業とのパートナーシップによって打破したいという強い意欲が感じられます。まさに、互いの弱点を補完し合う理想的な関係が築かれようとしています。
数学の天才たちを狙え!熾烈な人材獲得競争
ロシアは伝統的に数学教育のレベルが極めて高く、特にノボシビルスクには国内屈指の技術者が集結しています。こうした高度な「知財」を求めて、イークラフトマンなどの札幌企業5社は、現地の学生を対象とした採用イベントを2019年11月20日に実施しました。日本式の集団説明会には20名を超える若者が集まり、熱気溢れる質疑応答が行われたのです。
「入社後のポジションはどうなるのか」「具体的な報酬額はいくらか」といった、非常にシビアで具体的な質問が飛び交う光景は、彼らのハングリー精神を象徴しています。私は、こうした積極的な人材こそが、日本の停滞したIT業界に新しい風を吹き込むと確信しています。文化や商慣習の違いを乗り越え、優秀な頭脳を確保できるかどうかが、今後の勝敗を分ける鍵となるでしょう。
スイーツから地質調査まで!広がる「北海道ブランド」
技術だけではありません。食の分野では、生チョコレートで名高いロイズコンフェクトが2019年10月下旬、ついにノボシビルスク1号店をオープンさせました。札幌市と姉妹都市であるこの街では、北海道という言葉自体が強力なブランド力を持ちます。試食を通じてじっくりとファンを増やす戦略は、確実な手応えを掴んでいる様子が伺えます。
また、2019年9月には地質調査のプロ集団であるレアックスが現地の研究所を視察しました。地中を特殊カメラで分析する同社の独自技術は、資源大国ロシアにとって喉から手が出るほど欲しい技術です。もちろん、地政学的なリスクは拭えませんが、慎重に相手を見極めつつ進む道内企業の姿には、北の大地で培われた力強いフロンティア精神が宿っています。
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