私たちの生活を便利にするIoTデバイスが、もし役目を終えたあとに土へと還るとしたら、それはどれほど素敵なことでしょうか。2019年12月18日、大阪大学の能木雅也教授と大学院生の春日貴章さんらの研究チームが、まさにそんな夢のような「紙製IoTデバイス」の開発に成功したと発表し、大きな注目を集めています。
この画期的な装置の主原料は、木材から抽出される「セルロースナノファイバー(CNF)」という次世代素材です。これは植物の細胞壁を構成する繊維をナノレベルまで細かく解きほぐしたもので、鉄の5倍の強度を持ちながら重さは5分の1という、驚異的なポテンシャルを秘めています。研究グループはこの繊維を重ねることで、まるでガラスのように透明な「紙」を作り上げました。
環境負荷をゼロへ!40日で土に還る驚異の分解性
従来の電子機器はプラスチックや多くの希少金属を使用するため、廃棄後の環境負荷が大きな課題となっていました。しかし、今回のデバイスは基板やコンデンサーといった主要部品までCNFで構成されており、少量の金属や鉱物を加えるだけで機能します。そのため、土の中に埋めておけば40日ほどでそのほとんどが分解され、自然へと戻っていくのです。
SNS上では「使い捨てのセンサーがゴミにならないのは革命的だ」「プラスチック削減の切り札になるかもしれない」といった期待の声が数多く寄せられています。私個人としても、技術の進歩が自然を破壊するのではなく、むしろ自然と共生する形を選んだ今回の成果には、科学の真の美しさを感じずにはいられません。
現在は湿度の計測やデータ送信が可能となっており、広大な森林や農地のデータ収集など、広範囲に設置して回収が困難な現場での活躍が期待されるでしょう。研究チームは2024年ごろを目処に実地試験を開始する計画を立てており、私たちの暮らしにこの「優しい技術」が溶け込む日は、もうすぐそこまで来ているのかもしれません。
コメント