2019年は、日本のゲームファンや関係者にとって、まさに歴史の転換点として記憶される一年になりました。これまでゲームといえば専用のハードウェアを購入して遊ぶのが当たり前でしたが、その常識を根底から覆す「クラウドゲーム」が大きな注目を集めています。
特に大きな話題を呼んだのが、2019年11月にアメリカのグーグルがサービスを開始した「Stadia(スタディア)」です。ネットメディアやSNS上では「ついにゲーム機がいらない時代が来るのか」「遅延(タイムラグ)は大丈夫なのか」といった期待と不安が入り混じった声が数多く飛び交っています。
専用機不要!クラウドがもたらす新しい遊び方
そもそもクラウドゲームとは、ゲームの複雑な情報処理をユーザーの手元にある端末ではなく、インターネット上のサーバー(クラウド側)で行う仕組みを指します。動画配信サービスを視聴するように、ストリーミング形式で映像を受け取りながら操作するため、ソフトを長時間かけてダウンロードする必要もありません。
グーグルの「スタディア」は、2019年時点で欧米14カ国にて月額9.99ドル(約1088円)でスタートしました。高価なゲーミングPCや専用機を持たなくても、テレビやスマートフォンがあれば高品質な作品が楽しめるという手軽さは、カジュアル層を取り込む大きな武器になるでしょう。
こうした黒船の来航に対し、長年のライバル関係にあったソニーと米マイクロソフトが、2019年5月にクラウド分野での提携を電撃発表したことは業界を震撼させました。共通のインフラ基盤を整えることで、グーグルやアマゾンといった巨大IT企業に対抗しようとする姿勢は、生き残りをかけた戦略的な判断と言えます。
国内市場の活性化と5Gが握る普及の鍵
迎え撃つソニーは、2019年10月から「PS Now(プレイステーション・ナウ)」の利用料金を約半額に改定しました。旧作だけでなく最新のヒット作もラインナップに加え、会員数を2020年には100万人規模へ引き上げる意欲的な計画を進めています。先行者としてのコンテンツの豊富さで、新規参入組を圧倒したい考えです。
日本国内に目を向けると、ソフトバンクも米エヌビディアと協力し、「GeForce NOW(ジーフォースナウ)」の試験配信を2020年2月まで実施しています。市場予測では、2018年に11億円だったクラウドゲーム市場が、2022年には126億円にまで急成長すると見られており、そのポテンシャルは計り知れません。
普及の鍵を握るのは、2020年春から商用化される次世代通信規格「5G」です。大容量・低遅延の通信が可能になることで、一瞬の操作ミスが命取りになるアクションゲームも外出先で快適に遊べるようになるでしょう。インフラが整うにつれ、私たちのライフスタイルの中にクラウドゲームが自然に溶け込んでいくのは間違いなさそうです。
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