2019年12月28日、長崎県のトランスコスモススタジアム長崎において、サッカーU-22日本代表がジャマイカ代表との国際親善試合に臨みます。東京五輪を翌年に控え、代表生き残りをかけた激しい「サバイバル・レース」が過熱する中、一際クールな存在感を放っているのが、名門バルセロナに所属する安部裕葵選手です。
周囲が五輪切符を勝ち取ろうとアピールに躍起になる一方で、彼は驚くほど平熱のまま試合を見据えています。取材陣から意気込みを問われても、「自分を良く見せようとは考えず、チームの勝利のために、いつも通りのスタンスで挑むだけ」と淡々と語る姿は、若手選手特有の気負いを感じさせません。こうした独自の哲学に、SNSでは「大物の風格が漂っている」「メンタルが成熟しすぎている」と、ファンの間で驚きの声が広がっています。
安部選手は2018年にJリーグのベストヤングプレーヤー賞を受賞した逸材で、2019年7月には鹿島アントラーズから世界最高峰のクラブであるバルセロナへ電撃移籍を果たしました。現在はBチーム(実質的なリザーブチーム)が主戦場ですが、そこはスペインの「セグンダ・ディビシオンB」と呼ばれる、3部相当ながらも技術水準が極めて高い過酷なリーグです。
バルセロナBを率いるガルシア・ピミエンタ監督も、彼の「つかみどころのなさ」を高く評価しています。監督は「左右どちらが利き足か判断がつかないほど両足を自在に操り、一見華奢に見えるが、一度ボールを持てば魔法のような展開を生み出す」と絶賛しました。相手の意表を突く独特のリズムによるドリブルは、まさに彼だけの特別な武器と言えるでしょう。
激戦区の2列目で放つ異彩と編集者の視点
現在の日本代表において、安部選手が主戦場とする「2列目(攻撃的ミッドフィルダー)」は、久保建英選手ら世界レベルの才能がひしめき合う最激戦区です。しかし、彼は他者と比較することを好まず、己の道を進む意志の強さを感じさせます。この冷徹なまでの自己客観視こそが、プレッシャーのかかる大舞台で決定的な仕事をするための条件なのかもしれません。
編集者の視点から言えば、彼の魅力は「動」の中に宿る「静」にあります。周囲の熱狂に流されず、バルセロナという厳しい環境で培った「日常」をそのまま代表に持ち込む姿勢は、チーム全体に落ち着きを与えるはずです。2019年12月26日の練習でも、その揺るぎない眼差しは、勝利という一点のみを鋭く射抜いていました。
若きサムライたちが長崎の地でどのような融合を見せるのか、期待は高まるばかりです。安部裕葵という稀代のテクニシャンが、バルサ仕込みの閃きでジャマイカの守備陣をどう切り崩すのでしょうか。過度なアピール合戦に埋もれることのない、彼の「いつものスタンス」が、停滞した試合状況を打破する一撃に変わる瞬間を私たちは心待ちにしています。
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