2019年12月26日、小売業界は大きな転換点を迎えています。消費増税に伴うキャッシュレス還元策や各社のポイント施策が盛り上がりを見せる一方で、家計を預かる消費者の視線はかつてないほど厳しくなっているようです。京成ストアの谷田部亮社長は、現在の個人消費について「財布のひもが非常に固くなっている」と分析しており、現場の実感として低価格志向の強まりを指摘しています。
SNS上でも「増税後の負担感がじわじわ効いてくる」「結局、安いスーパーをハシゴしてしまう」といった声が散見され、生活防衛意識の高さがうかがえます。特に2019年は「老後2000万円問題」が大きな議論を呼び、将来への不安から買い控えを選択する層が増えているのでしょう。実際に、不採算店を低価格路線の「業務スーパー」へと刷新したところ、売上が2割も増加したという事実は、価格の重要性を如実に物語っています。
異常気象が食卓を直撃!野菜高騰への苦肉の策とは
私たちの食卓を脅かしているのは、制度の変化だけではありません。2019年に首都圏を襲った台風や記録的な大雨は、千葉県や茨城県といった主要な農作地帯に甚大な被害をもたらしました。その結果として野菜価格が高騰しており、家計へのダメージが深刻化しているのです。谷田部社長によれば、肉や魚と違い、野菜や果物は産地を急に切り替えることが難しく、この苦境は次の収穫時期まで続く見通しだといいます。
こうした事態に対し、同社では「豆苗(とうみょう)」などの植物工場で栽培される野菜の取り扱いを強化しています。天候に左右されず安定供給が可能な工場野菜は、今の時代における救世主と言えるでしょう。私個人としても、こうした企業の工夫は評価すべきだと考えます。しかし、本来の旬の恵みを安価に享受できる環境をいかに取り戻すか、流通と産地が手を取り合った長期的な対策が、今後さらに求められるはずです。
2020年の展望と「自動化」のジレンマ
いよいよ2020年が幕を開けます。6月までは政府主導の還元策が続き、夏には東京オリンピック・パラリンピックという巨大なイベントが控えています。お祭りムードに包まれる中で一時的な消費の活性化は期待できるでしょう。しかし、真の課題はその「祭りの後」にあります。各社が知恵を絞って集客策を打ち出す中で、いかにして日常的な来店動機を維持し続けるかが、生き残りの鍵を握ることは間違いありません。
深刻な人手不足への対応として注目される「自動化」についても、興味深い知見が示されました。2019年に導入が進んだ「セルフレジ(会計を顧客自身で行うシステム)」ですが、操作に不慣れな高齢者が戸惑い、逆に利便性を損なうケースも見られるようです。技術の導入は素晴らしいことですが、顧客満足度を置き去りにしては本末転倒でしょう。デジタル化と、人ならではの温かみのある接客をいかに両立させるかが問われています。
これからの小売店は、単に物を売る場所ではなく、生活者に寄り添うパートナーとしての役割を深める必要があるのではないでしょうか。シニア世代の雇用活用においても、短時間シフトを組み合わせるなど、働きやすさと店づくりのバランスを模索する姿勢に、次世代の店舗のあり方が見えてきます。変化の激しい2020年、私たちの買い物体験がどのように進化していくのか、京成ストアの挑戦から目が離せません。
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