2019年12月27日、自動車業界を揺るがす大きなニュースが飛び込んできました。日産自動車の副最高執行責任者(COO)を務める関潤氏が、日本経済新聞の取材に対し、日本電産へ転身する真意を熱く語ったのです。日産の再建を担う中心人物と目されていた関氏の決断は、多くのビジネスパーソンに驚きを与えています。
関氏を突き動かしたのは、日本電産の創業者である永守重信会長が掲げる壮大なビジョンでした。永守会長は、現在から約10年後の2031年3月期(2030年度)までに、連結売上高を現在の6倍以上となる10兆円規模へ引き上げるという、驚異的な目標をぶち上げています。この圧倒的な情熱に、関氏の心は激しく揺さぶられたのでしょう。
SNS上では「日産の損失は計り知れない」「58歳での挑戦は勇気をもらえる」といった声が相次いでいます。関氏は「私は58歳でもう後がない」と吐露しており、人生の最終盤を賭けて新しいフィールドに飛び込む覚悟が伺えます。組織の歯車として安住するのではなく、一人の経営者として勝負に出る姿は、実にかっこいい生き様だと言わざるを得ません。
製造業のプロが挑む「ポスト永守」への道
関氏は2020年1月中旬にも日産を去り、2月をめどに日本電産へ入社する運びとなっています。同社では将来の社長候補としての活躍が期待されており、まさに「次期トップ」含みの異例の待遇です。長年、日産の生産部門で腕を磨き、アメリカや中国といった巨大市場での駐在経験も豊富な関氏にとって、その手腕を振るう絶好の舞台となるはずです。
ここで「COO(最高執行責任者)」という役割について解説しておきましょう。これは社長やCEO(最高経営責任者)が描いた経営戦略を、現場の業務として具体的に実行・管理する責任者のことです。大規模な製造業のマネジメントを熟知している関氏の知見は、急成長を続ける日本電産にとって、喉から手が出るほど欲しいピースだったに違いありません。
実は、関氏は日産の次期社長レースにおいて本命視されていた時期もありました。しかし、2019年に指名委員会が選んだトップは内田誠氏であり、関氏はナンバー3の地位に留まることになったのです。この人事の妙が、結果として彼を新天地へと向かわせるトリガーになったのかもしれません。
日産は2020年2月18日に臨時株主総会を控え、新体制を固める直前でした。関氏は「年内に決めなければ後任選びに支障が出る」と考え、2019年12月20日前後に決断を下したといいます。最後まで古巣への義理を通しつつも、自らの夢を優先した決断は、停滞する日本経済に一石を投じる熱いドラマを感じさせてくれます。
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