2020年01月01日、新しい一年の幕開けとともに、日本の食卓に新たな旋風を巻き起こしているお米があります。それは、栃木県が誇るオリジナル品種「とちぎの星」です。皇位継承に伴う歴史的な儀式「大嘗祭(だいじょうさい)」において、供え物として選ばれたことをきっかけに、今まさに爆発的な注目を集めています。
大嘗祭とは、天皇陛下が即位後に初めて新穀を神々に供え、自らも食して国家の安寧を祈る、一生に一度の極めて重要な皇室行事です。この神聖な儀式で使われるお米の産地は、亀の甲羅を焼いてひびの入り方を見る「亀卜(きぼく)」という古式ゆかしい占いで決定されました。栃木県高根沢町産の本種が選ばれたことは、まさに天に導かれた名誉といえるでしょう。
SNS上では「占いでお米が決まるなんてロマンチック」「大嘗祭のお米ならぜひ食べてみたい」といった驚きと期待の声が溢れています。これまで栃木のお米といえば「コシヒカリ」の影に隠れがちでしたが、この歴史的なトピックスによって、一気に全国区のスターダムへと駆け上がりました。
食味ランキング最高評価!冷めても美味しい驚きの実力
とちぎの星は、2015年に誕生した比較的新しい品種ですが、その実力は折り紙付きです。日本穀物検定協会が実施する「食味ランキング」では、2015年、2017年、そして2018年産において、最高ランクである「特A」を獲得しています。これは、美味しさにおいて日本トップクラスであることを証明する、いわばお米の勲章です。
最大の特徴は、一粒一粒が大きく、しっかりとした弾力があることです。炊き上がりはキラキラと輝き、まさに「星」の名にふさわしい美しさを放ちます。また、冷めても美味しさが損なわれにくいため、お弁当はもちろん、丼ものやカレーライスとの相性も抜群で、現代のライフスタイルに最適な万能米といえます。
この勢いを受け、宇都宮市を拠点とするスーパー「オータニ」では、2018年には5店舗だった取り扱いを、一気に全31店舗へと拡大しました。あまりの人気に品薄状態が続く店舗も出ており、消費者の関心の高さが伺えます。JAグループ栃木も、2022年産には19年産の倍となる3万トンの出荷を目指す強気な計画を立てており、増産体制が急ピッチで進められています。
日本酒にも波及する「とちぎの星」ブームの行方
熱狂は、お米そのものだけにとどまりません。宇都宮酒造がこのお米を使用して醸造する純米酒「四季桜 とちぎの星」は、2019年9月に大嘗祭への供納が決まってから、わずか2カ月で1年分の在庫が完売するという異例の事態となりました。地元の恵みを凝縮したこのお酒は、まさに栃木の誇りを凝縮した一滴といえるはずです。
編集者の視点から申し上げますと、今回のブームは単なる一時的な「話題性」を超えた、本質的な価値の再発見だと感じています。どんなに優れた品質を持っていても、知られなければ存在しないのと同じです。大嘗祭という格式高い「コト」がきっかけとなり、長年磨き上げられてきた「モノ」の良さが正当に評価されたことは、地方創生の理想的な形ではないでしょうか。
日本人の主食であるお米の消費量が減少する中で、こうしたストーリー性のあるブランド米が活気をもたらすのは喜ばしい限りです。一度口にすれば、その粒立ちの良さと甘みに驚かされることでしょう。栃木県が生んだ、文字通り食卓を照らす新星を、ぜひ皆様も五感で味わってみてください。
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