2019年もいよいよ幕を閉じようとしていますが、この1年を振り返ると「ハラスメント」という言葉が社会の至る所で激しく飛び交った年であったと実感せずにはいられません。かつてはパワハラやセクハラが中心でしたが、今やその概念は驚くべき広がりを見せています。
特に注目を集めたのが、顧客が理不尽な要求を突きつける「カスタマーハラスメント(カスハラ)」や、妊娠中の方への配慮を欠く「マタニティーハラスメント(マタハラ)」といった新しい概念です。私たちの日常のあらゆる場面に、ハラスメントの火種が潜んでいることが浮き彫りになりました。
政府のパワハラ指針にSNSが猛反発!定義の難しさと現場の乖離
厚生労働省が審議会でまとめたパワハラ指針は、2019年の議論において大きな波紋を呼びました。SNS上では「これでは定義が狭すぎて、逆にパワハラを助長してしまうのではないか」という不安の声や、「実態に即しておらず、被害が野放しになる」といった厳しい批判が相次いでいます。
しかし、ハラスメントを明確に数値化やルール化することは容易ではありません。受け手の感情によって受け止め方が異なるという側面があるため、画一的な線引きをすることの難しさが改めて浮き彫りになったと言えるでしょう。
企業に問われる「守る力」と進化するハラスメントの形
カスハラ問題においては、従業員を保護する企業の責任を問うツイートも目立ちました。「悪質なクレームには毅然と対応すべきだ」という意見や、基準を明確にして警察と連携するなど、組織として現場を守る仕組みづくりを求める声が強まっています。
さらに、教育現場での「アカデミックハラスメント(アカハラ)」や、臭いによる不快感を与える「スメルハラスメント(スメハラ)」といった言葉も浸透しました。これまでは「仕方のないこと」と片付けられてきた不当な扱いが、ようやく「不当である」と認められる土壌が整いつつあります。
言葉の独り歩きに懸念も。私たちが持つべき「想像力」という処方箋
一方で、何でもハラスメントと呼ぶ風潮に対し、本質が曖昧になると警鐘を鳴らす人々も存在します。世代間での認識のズレは大きく、誰もが気づかぬうちに加害者にも被害者にもなり得る危うさを抱えているのが、2019年12月24日現在のリアルな社会像です。
編集者としての私の意見ですが、ハラスメントの名称が増えることは、社会の「解像度」が上がることだと考えています。大切なのは言葉を武器に相手を攻撃することではなく、他者の痛みに寄り添う想像力を持つことではないでしょうか。私たちは今、新しい共生の形を模索する試行錯誤の真っ只中にいるのです。
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