2019年も残すところあとわずかとなりました。今年の中部地方を振り返ると、まさに「次世代への種まき」が加速した、歴史的な転換点だったと言えるでしょう。産業界では、日本が誇る「ものづくり王国」の威信をかけた巨大な再編劇が次々と幕を開け、私たちの暮らしを支える街の景色も劇的な変貌を遂げようとしています。
SNS上でも「トヨタとスズキの提携は胸熱」「栄が東京みたいに都会になるのが楽しみ」といった前向きな声が多く聞かれ、地域の未来に対する期待感が高まっています。一方で、リニア中央新幹線の着工遅れなど、懸念されるニュースも影を落としました。今回は、日経新聞名古屋編集部が選んだ十大ニュースをベースに、熱狂の2019年を総括します。
自動車業界は「100年に1度の変革期」へ!トヨタを軸とする新連合の誕生
2019年における最大のトピックといえば、やはり自動車業界の合従連衡でしょう。トヨタ自動車は2019年8月にスズキとの資本提携を発表し、続く9月にはSUBARU(スバル)への追加出資を明らかにしました。ここで重要なキーワードとなるのが「CASE」です。これは接続性、自動運転、シェアリング、電動化の頭文字を取った専門用語を指します。
現在の自動車産業は、単に車を造るだけでなく、IT技術との融合が不可欠な時代に突入しました。米グーグルなどの異業種が強力なライバルとして台頭する中、各社が経営資源を持ち寄って生き残りを図るのは必然の選択です。地域の基幹産業がこうして進化し続ける姿は、中部経済の底力を改めて世に知らしめる結果となったのではないでしょうか。
名古屋・栄の再開発ラッシュと空の玄関口「中部国際空港」の飛躍
名古屋の街並みも、これまでにないスピードで塗り替えられています。特に栄地区では、2018年に惜しまれつつ閉店した「丸栄」跡地への商業施設展開や、中日ビルの建て替え、さらには名古屋三越栄店の高さ180メートルに及ぶ高層ビル構想が浮上しました。これらの計画が順次進むことで、名古屋の拠点はより多層的で魅力的なものになるはずです。
空の玄関口である中部国際空港では、2019年9月に格安航空会社(LCC)専用の第2ターミナルがオープンしました。年間450万人の受け入れが可能になり、隣接する愛知県国際展示場とともに、インバウンド需要の強力な受け皿となっています。観光とビジネスの両輪で地域を活性化させるインフラが整ったことは、非常に大きな一歩でしょう。
編集者が見る「光と影」:リニア開業への懸念と再編の波
一方で、大きな期待を集めるリニア中央新幹線については、静岡工区での着工が難航するという課題が浮き彫りになりました。大井川の流量確保を巡るJR東海と静岡県の協議は、現時点でも平行線を辿っています。2027年の開業目標に黄信号が灯っている点は、日本全体の物流や移動の変革を待ち望む身としては、一刻も早い解決を願うばかりです。
最後に私の私見を述べれば、2019年は「選別と統合」の年でした。金融機関の合併やドラッグストアの争奪戦など、既存の枠組みを超えた効率化が叫ばれています。変化を恐れず、新たな価値を創造しようとする中部の姿勢は、令和という新時代を切り拓く先駆者としてふさわしいものです。来年、この挑戦がどんな実を結ぶのか、期待して見守りましょう。
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