瀬戸内の豊かな風土を背負い、中国銀行がいよいよ本格的な経営の変革期に突入しました。2019年12月24日、同行は長引く低金利環境を突破するための新たな布石として、コンサルティング専門会社や地域商社の設立を軸とした「攻め」の姿勢を鮮明にしています。これは単なる組織改編ではなく、伝統的な銀行の枠組みを超えた挑戦と言えるでしょう。
SNS上では、この異業種参入に近い動きに対し「地銀が農業を救うのか」「地域の雇用に直結する素晴らしい試み」といった期待の声が数多く寄せられています。地域に根ざした金融機関が自ら汗をかき、ビジネスを創出する姿に多くの人々が注目しているのです。加藤貞則新頭取が掲げるこの構想は、疲弊する地方経済にとって、まさに一筋の希望の光となる可能性を秘めています。
想定外の逆風を跳ね返す「未来共創プラン」の真価
2017年4月から始動した10年間に及ぶ長期戦略「未来共創プラン」は、同行の揺るぎない指針となっています。しかし、策定時には予想だにしなかった超低金利の長期化という荒波が、経営の舵取りを難しくしているのが現状です。加藤頭取は、基本的な方向性は維持しつつも、刻一刻と変化する経済情勢に合わせて、物事の決定プロセスを柔軟にアップデートしていく決意を固めています。
ここで注目すべきは、銀行の本業における稼ぐ力を示す「コア業務純益」という指標です。これは貸出金の利息や手数料から、人件費などの経費を差し引いた純粋な利益を指しますが、2020年3月期には197億円を見込むなど、直近5年間は右肩下がりの状況が続いています。この現状を打破するため、投資信託などの預かり資産販売だけでなく、遺産相続まで見据えた総合的なライフプラン支援が急務となっているのです。
筆者は、この「多角化」こそが地銀の生き残る唯一の道だと考えます。金利に頼るだけのビジネスモデルは既に限界を迎えており、地域住民一人ひとりの人生に深く入り込み、専門的な助言を行うコンサルタントとしての顔を持つことが不可欠でしょう。今回の新会社設立は、その覚悟を体現した素晴らしい決断だと評価できるのではないでしょうか。
瀬戸内のポテンシャルを武器に東京一極集中を打破
加藤頭取は、営業拠点である瀬戸内エリアの強みとして、温暖な気候や災害の少なさ、そして抜群の交通利便性を挙げています。全国と比較しても圧倒的な優位性を持つこの地域には、まだまだ発展の余地が残されていると力説します。特に「東京一極集中」の是正は、地域金融機関が果たすべき最大の使命であると言っても過言ではありません。
農業支援を通じた地域商社の設立は、生産者の所得向上だけでなく、ブランド化による域外からの資金流入を狙った戦略的な一手です。宮長雅人会長が築き上げた堅実な経営基盤に、新頭取がどのような新しい感性というエッセンスを加えていくのか、瀬戸内の未来を左右する壮大な挑戦が始まっています。2019年6月の就任から半年、いよいよその手腕が試される時がやってきました。
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