深刻化する人手不足や、多様なバックグラウンドを持つ人材の転職が日常茶飯事となった現代のビジネス界において、大きな変革の波が押し寄せています。かつてのように一部の優秀な生え抜き社員だけに期待をかける時代は、すでに終わりを告げたと言えるでしょう。今まさに多くの経営者や人事担当者から熱い視線を浴びているのが、「タレントマネジメント」という革新的な人材管理の手法です。
このタレントマネジメントとは、従業員が持つスキルや経歴、個々のキャリア目標、そして日々の評価といった膨大なデータを一元的に管理する仕組みを指します。客観的なデータに基づき、適切な人を適切な部署へ配置することで、組織全体のパフォーマンスを最大化させる戦略的な人事のあり方です。SNS上でも「これまでの古い勘頼みの人事には限界を感じていた」「データで強みを可視化してほしい」と、大きな共感の声が広がっています。
歴史を紐解くと、この言葉は2000年初頭に外資系コンサルティングファームのマッキンゼー・アンド・カンパニーが発表した概念に端を発しています。当時は、一部の天才的なリーダー候補を外部から採用して確保する思想が主流でした。しかし、パーソル総合研究所の大下徹朗氏は、現在の日本企業が直面している激しい環境変化を鑑みると、一部の選抜層だけでなく全社員を対象に据えるべきだと力強く提唱しています。
企業がこの手法を導入する上で整理すべき重要な視点は2つあります。1つ目は管理の対象を一部の優秀層にするか全社員にするかという点であり、2つ目は才能を生まれ持ったものとするか後天的に育成可能とするかという点です。社内でこの認識をあらかじめすり合わせておくことが、施策を成功させるための第一歩となるでしょう。これらを明確に定義することで、ブレのない一貫した組織改革が可能になると私は確信しています。
特に今の日本は少子高齢化による労働力不足が深刻であり、人材のミスマッチによる離職は企業にとって致命的な痛手となりかねません。また、経営環境の先行きが見通せない不確実な時代だからこそ、意外な社員が新しい事業で素晴らしい頭角を現す可能性も秘めています。だからこそ、従来の「〇年入社の誰それはこういう性格だ」といった人事担当者の記憶や経験だけに依存する「なんとなく人事」から、早急に脱却する必要があるのです。
2020年01月10日現在、M&Aによる組織の統合や雇用の流動化はさらに加速の一途をたどっています。従業員の価値観も多様化する中で、主観を排除した客観的なデータに基づく「より確かな人事」への移行は、企業の存続をかけた急務と言えます。全社員の隠れた才能を掘り起こし、戦略的に育てるタレントマネジメントこそが、これからの厳しい市場競争を勝ち抜くための最強の武器になるのではないでしょうか。
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