2016年4月にスタートした電力の小売全面自由化は、私たちのライフスタイルに大きな変化をもたらしました。誰もが自由に電気の契約先を選べる時代が到来し、様々な業界から「新電力」と呼ばれる新規事業者が参入して顧客獲得競争が激化しています。しかし、2020年1月04日現在の電力業界の景気予測に目を向けると、華やかな市場競争の裏で新電力各社が深刻な岐路に立たされている状況が浮き彫りになってきました。
現在、自社で大規模な発電設備を持たない多くの新電力は、販売する電気を主に卸電力取引市場などから仕入れています。この「電力を安く調達しにくい」という構造的な問題が、ここにきて彼らの経営を大きく圧迫し始めました。ネット上でも「応援していた新電力が値上げしてショック」「価格競争の本質が見えてきた」といった、先行きを不安視するユーザーの声が数多く飛び交っており、SNSでの反響も冷めやらない状態が続いています。
大手と新電力を分ける原発再稼働の不透明感
ここでいう「新電力」とは、従来の地域独占企業であった大手電力会社以外の、新しく小売市場に参入した事業者を指す専門用語です。彼らが苦戦する一方で、大手電力会社側も決して手放しで喜べる状況にはありません。なぜなら、経営基盤の抜本的な改善の切り札とされる「原子力発電所の再稼働」が、多くの地域で未だに先行き不透明なままだからです。安全対策工事の遅れや司法の判断など、クリアすべき課題が山積しているのは間違いありません。
私は、この2020年1月期における電力業界の混迷こそ、制度設計の歪みが露呈した結果だと考えています。消費者還元を謳って自由化を推し進めたものの、公平な発電インフラの利用環境や安定した調達市場が十分に整っていなければ、新電力を選んだユーザーが最終的に不利益を被る恐れすらあるでしょう。単なる価格競争の段階は終わり、これからは各社がどのような独自の付加価値を提示できるかという、本当の意味での生存競争が始まると予想されます。
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