2020年1月3日に開催されたアメリカンフットボールの日本一決定戦「ライスボウル」にて、学生代表の関西学院大学ファイターズが社会人王者への挑戦権を手にしました。試合は社会人チームの圧倒的な実力に押される展開となりましたが、最終クオーターの終盤にドラマが待っていたのです。誰もが勝負の行方を見守る中、若き戦士たちは意地と執念が詰まった素晴らしい攻撃を披露してくれました。
試合残り4分38秒という極限の状況から、関学大の反撃がスタートします。彼らは「ギャンブル」という、失敗すれば攻守交代となる4回目の攻撃権を使った大勝負に見事成功しました。じわじわと敵陣へ攻め入る中、司令塔であるクォーターバックの奥野耕世選手からワイドレシーバーの鈴木海斗選手へ、見事なタッチダウンパスが鮮やかに通ったのです。この息をのむ展開に、スタジアムは大歓声に包まれました。
彼らの猛追はこれだけでは終わりません。得点後のキックオフでこぼれたボールを自陣で確保し、再び攻撃権を奪い取るという奇跡的な執念を見せます。惜しくも追加の得点には至りませんでしたが、相手ゴールライン背後の「エンドゾーン」まで残り1ヤードに迫る猛攻は観客を大いに魅了しました。35点差で大敗した前年の雪辱を誓った奥野選手は、実力差を認めつつも手応えを語っています。
SNS上でもこの終盤の猛攻に対して、「これぞ学生王者のプライドだ」「最後まで諦めない姿勢に胸が熱くなった」といった感動の声が続々と寄せられました。しかし、前半を7対28という大差で折り返したことが、最終的に試合全体の明暗を分ける結果となっています。陣地を回復するための「パント」と呼ばれるキックのミスから失点を招くなど、前半の遅れが響いた形となりました。
さらに、相手の意表を突く「スペシャルプレー」を成功させた直後に反則を犯してしまい、自ら良い流れを手放してしまう場面も見受けられました。この試合を最後に退任を迎える鳥内秀晃監督は、防げるはずの失策を徹底して防ぎきれなかった組織としての甘さに、悔しさをにじませています。やはり、百戦錬磨の社会人王者を相手に勝利を収めるためには、一瞬の油断も許されないのでしょう。
悲願である「社会人撃破」の壁は厚く、2020年の挑戦もここで幕を閉じることとなりました。長年チームを率いた名将は、日本一の座を掴むためには並大抵ではない覚悟が必要であると説き、後輩たちへ未来の希望を託しています。この敗北の悔しさを肌で感じた下級生たちが、次なるステージでどのように進化を遂げるのか、彼らの新たな挑戦から今後も目が離せません。
個人的には、点数以上の熱いドラマと可能性を感じさせてくれた素晴らしい一戦だったと感じています。社会人チームとの体力や経験の差は歴然としていますが、組織力と精神力で肉薄した終盤の攻撃は、日本のアメフト史に刻まれるべき名シーンでした。鳥内監督が遺した魂の教えを受け継ぎ、関学大が再びこの大舞台でリベンジを果たしてくれる日を、一人のファンとして心から楽しみにしています。
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