ECサイトでの買い物が増える中で、私たちの手元に荷物を届ける拠点となる倉庫の進化が止まりません。2011年に立ち上げられたロボット制御のベンチャー企業「MUJIN」が、物流業界に大きな革命をもたらそうとしています。人間の腕を模したアーム型ロボットを活用し、倉庫の荷物積み替え作業を完全に自動化する取り組みに注目が集まっているのです。少子高齢化による人手不足が深刻化する日本において、こうした省人化の動きはまさに救世主と言えるのではないでしょうか。
2019年12月に東京都江東区で開催された国際ロボット展示会にて、同社は荷下ろし作業を劇的に高速化させる最新鋭の技術を初披露しました。山積みにされた段ボールからアームが2つの荷物を一気に持ち上げ、ベルトコンベヤーへ滑らかに下ろしていく光景は圧巻の一言に尽きます。人間が手作業で行う場合は1時間あたり600個、従来のロボットでも700個程度が限界でした。しかし、この新システムは最速で1時間に1000個もの積み替え作業をこなす実力を持っています。
ネット上でもこの驚異的なスピードに対して、「物流の未来がここにある」「これなら深夜の倉庫作業もロボットに任せられる」といった驚きと期待の声が多数寄せられていました。MUJINの最大の武器は、カメラで作業スペースや荷物の状態を瞬時に把握し、ロボット自身が最適な動きを計算する点にあります。これは「ティーチレス技術」と呼ばれるもので、事前にロボットへ細かな動作を覚え込ませる必要がない画期的な仕組みです。
一般的な産業用ロボットは、あらかじめプログラミングされた軌道通りにしか動けないため、不揃いな荷物の山には対応できません。周囲の環境に合わせて臨機応変に自律して動くシステムは、開発の難易度が極めて高いとされています。それでも「世にない技術やサービスを創り出す」と熱く語る滝野一征最高経営責任者の言葉からは、困難な壁を乗り越えていこうとする強い意志が感じられ、日本のモノづくりの底力を実感せずにはいられません。
この圧倒的な実力に目を付けたのが、「ユニクロ」を展開するファーストリテイリングです。同社はMUJINと手を組み、共同開発した次世代ロボットを世界中の物流倉庫へ導入していく計画を発表しました。グローバル市場を勝ち抜く企業にとって、最新のテクノロジーを駆使した効率化は避けて通れない課題です。物流テックが世界を変える未来は、もうすぐそこまで来ているのかもしれません。
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