東京オリンピック・パラリンピックが開催され、世界中から熱視線が注がれる2020年。政府は訪日外国人、いわゆるインバウンドの数を2015年の2倍となる4000万人に引き上げるべく力を注いでいます。そのカギを握るのが日本の「食」です。最近では定番の和食を味わうだけでなく、何度も日本を訪れるリピーターを中心に、よりディープなレトロ文化を体験できるスポットへ足を運ぶ外国人が急増しています。SNSでも「日本でしか味わえないリアルな雰囲気が最高!」と、独自の文化を体験した投稿が話題を呼んでいます。
JR渋谷駅から徒歩10分ほどの裏通りにある「リズムカフェ」では、そんな熱気あふれる光景が見られます。2019年11月下旬の午後9時過ぎ、店内は100人ほどの熱気で満たされていました。なんと客の半数以上が外国人です。ここで月に一度開催されているのが、1950年代から1980年代の日本のポップスを流す「昭和歌謡ナイト」という画期的なイベントです。一見すると今風のクラブのようですが、フロアに響き渡るのは懐かしの昭和の名曲たち。意外な組み合わせが、国境を越えて人々を躍らせています。
ドイツからカップルで訪れた女性は、昭和の音楽が持つ力強いメロディーと当時の日本の勢いに魅了されたと語り、スマートフォンのアプリで熱心に曲名を調べていました。この熱狂の仕掛け人は、米国出身のDJ、ジャスティン・ミラーさんです。3000枚ものレコードを所有する彼の一押しは黛ジュンさん。日本古来の情緒にラテンやグループサウンズ、つまり1960年代後半に大流行したロックを取り入れたバンドサウンドが融合した音楽性は、外国人にとっても新しく、かつどこか哀愁を誘う魅力に満ちているのでしょう。
名曲のイントロで歓声が上がり、有名な振り付けを全員で踊る一体感は、言葉の壁を軽々と飛び越えていきます。SNSでは「知らない曲でも周りが教えてくれて最高に楽しめた」という好意的な声が溢れていました。単なるノスタルジーではなく、現代のエンターテインメントとして昭和歌謡が消費されている現象は非常に興味深いものです。かつて日本人が欧米の音楽に憧れたように、今度は外国人が日本のレトロポップスに新鮮なクールさを見出している潮流には、文化の幸福な循環を感じずにはいられません。
世界が恋する「IZAKAYA」の原風景!思い出横丁の温かいおもてなし
一方、新宿駅西口の「思い出横丁」も、ディープな日本を求める外国人で連日賑わいを見せています。ちょうちんが揺れる狭い路地に飲食店がひしめく光景は、訪日客にとってまるで映画の世界のようです。SNSには「これぞ探していた日本のローカルな風景」と、魅力的な写真が多数アップされています。約15年前から外国人客が増え始め、口コミでその人気が広がりました。店頭に「お通し」、つまり席料代わりに提供される小皿料理の仕組みを明記するなど、受け入れ態勢を整えてきたことも成功の要因です。
オーストラリアから来た若者グループは、インスタグラムを見てこの場所を知り、日本の独特な町並みの美しさに感動していました。初めて体験する居酒屋では、店員がフレンドリーで居心地が良かったと笑顔を見せ、複数のお店を巡る「はしご酒」への期待に胸を膨らませています。さらに、2020年春の公開に向けて6カ国語対応のホームページも制作中とのことで、観光地としての進化は止まりません。外国人を受け入れる商店街側の地道な努力と温かいおもてなしの心が、リピーターを惹きつける最大の武器になっています。
進化する多言語対応!高級1人しゃぶしゃぶ店が仕掛けるおもてなしの最前線
海外での和牛ブームを背景に、飲食店側も訪日客向けに特化したプレミアムなサービスを次々と打ち出しています。2019年11月、渋谷スクランブルスクエアにオープンした「しゃぶしゃぶ つかだ」はその代表格です。カウンター席を中心としたすし店のような洗練された内装が特徴で、目の前のスタッフが美味しい食べ方を丁寧に伝授してくれます。2019年のラグビーワールドカップを機に多言語対応を進めるお店は確実に増加しており、2020年のオリンピックに向けてそのおもてなしはさらに充実していくでしょう。
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