世界を揺るがす大きなうねりの中心には、いつも若者たちの熱いエネルギーが存在しています。ジャーナリストの池上彰氏が、一般の高校生や大学生を対象に立教大学で実施した講演では、グローバル社会を生き抜くための熱い対話が繰り広げられました。現代の若者が持つ社会を動かす力強いパワーに、会場全体が真剣な眼差しを注いでいたのが印象的です。
2019年には世界各国で大規模なデモが頻発し、ネット上でも大きな議論を呼びました。特に中国への危機感から端を発した香港の運動では、若者たちの政治への高い関心が一躍クローズアップされています。2019年11月に実施された区議会議員選挙において、民主派が劇的な勝利を収めた背景には、21歳から被選挙権を持つ現地の若者による「未来を自分たちで変える」という強い意志があったのでしょう。
また、SNSを通じて瞬く間に世界中へ共感の輪を広げたのが、環境活動家のグレタ・トゥンベリさんです。たった一人で始まった地球温暖化への抗議行動が、地球規模のムーブメントへ発展した事実は、若者の発信力が世界を動かす証明となりました。ネット上では彼女の行動に賛否両論が巻き起こりましたが、それほどまでに彼女の投じた一石が、社会に巨大なインパクトを与えた事実は揺るぎません。
こうした国際情勢を踏まえ、講演会では受講生から現代社会の核心を突く数々の疑問が寄せられました。宗教的な価値観の違いをどのように乗り越えて理解し合うべきかという切実な問いに対し、池上氏は非常に深い示唆を与えています。まずは互いの差異を認めた上で、大いなる存在への畏敬の念という共通の土台を見出すことが重要であると、分かりやすく説いてくださいました。
さらに、海外で直面することもある差別的な思想への対抗策として、一人の人間としての誇りを胸に毅然と振る舞う重要性が語られています。理不尽な言動に遭遇した際、それを自分自身の振る舞いを正す鏡として内省する姿勢は、私たちが国際社会で生きていく上で不可欠な教養と言えます。他者を排斥するのではなく、自己を律するエッセンスへと昇華させる知恵には、深く感銘を受けました。
国内に目を向けると、在留資格(日本に滞在して活動するための法的資格)の法改正に伴い、外国人労働者の受け入れが急速に拡大しています。深刻な人手不足に悩む14業種が対象となっていますが、池上氏は「日本を選んでもらえる時代は長く続かないかもしれない」と警鐘を鳴らしました。アジア諸国の目覚ましい経済発展により、待遇面での逆転現象が起きつつあるからです。
ネット社会の手によって、職場の評判や生活環境のリアルな口コミは、瞬時に母国へ伝達される時代です。労働力として都合よく扱うのではなく、一人の人間として温かい信頼関係を築くことが、これからの日本人に求められる最重要課題でしょう。国境の壁を越えたリスペクトの精神こそが、今後の日本の命運を握る鍵になると確信しています。
最後に取り上げられたアフリカ市場への視点も、これまでの「援助対象」という偏ったイメージを覆す新鮮なものでした。現地が求めているのは一方的な施しではなく、対等なビジネスパートナーとしての投資なのです。広大な大地ゆえに内陸部の物流コストという地理的課題は存在しますが、沿岸部を中心とした爆発的な経済成長のポテンシャルには、今後も目が離せません。
コメント