経済失速のインドルピー安が深刻化?原油高騰で史上最安値へ逆戻りの懸念と今後の見通し

新興国通貨の中でも注目を集めるインドルピーが、現在とても苦しい局面に立たされています。2019年7月頃までは1ドル=68ルピー前後で比較的安定した値動きを見せていましたが、同月末を境に下落基調へ転じ、足元では71ルピー近辺での推移が続いている状況です。この通貨安の背景には、同国の経済成長が急激にブレーキがかかったような減速状態に陥っていることが挙げられます。活気のあった市場に冷や水が浴びせられた格好となり、投資家の間でも警戒感がにわかに強まってきました。

さらに状況を悪化させたのが、政府による政策の迷走と相次ぐ金融緩和策です。政府は2019年7月に、海外投資家が株などの売却で得た利益に課税する「キャピタルゲイン増税」を打ち出しました。この方針は後に撤回されたものの、市場の不信感を招いて資本流出を加速させる要因となったのです。また、インド準備銀行(中央銀行)は景気を下支えするため、2019年2月から2019年10月まで5会合連続で政策金利を引き下げる利下げを敢行しました。

金利が下がると、その国の通貨の魅力が薄れて売られやすくなるため、ルピーには強い下落圧力がかかり続けることになります。直近の2019年12月の会合ではいったん金利が据え置かれたものの、中央銀行は景気や物価の動向次第でさらなる利下げを行う方針をほのめかしている状況です。SNS上でも「インド経済の減速は予想以上に深刻かもしれない」「ルピー建て資産の割合を減らすべきか悩む」といった、先行きを不安視する投資家たちの声が多数見受けられます。

追い打ちをかけるように、足元では米国とイランの緊張緩和が見えない緊迫した対立のあおりを受け、原油価格が高騰しています。インドはエネルギー資源の大部分を海外からの輸入に頼っているため、原油高は貿易赤字を膨らませる致命的なルピー安要因になり得るでしょう。経済の停滞が長引く中でこのまま燃料コストの上昇が止まらなければ、2018年10月5日に記録した1ドル=74ルピーという過去最安値の悪夢が再び現実味を帯びてくるはずです。

編集部の視点としては、インドは中長期的な成長ポテンシャルが非常に高い国であるものの、足元の構造的な問題へのアプローチが遅れている印象を受けます。単なる利下げという表面的なカンフル剤だけでは、現在の複合的な通貨安を食い止めるのは難しいのではないでしょうか。世界的な地政学リスクにも翻弄される中で、インド政府が海外マネーを呼び戻すための実効性のある次の一手を打ち出せるかどうかが、今後の最大の焦点になると考えています。

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