1985年3月17日から開催されているつくば科学万博の会場で、ひときわ異彩を放つ巨大な「テレビ」が世界中から集まる来場者を驚かせています。縦25メートル、横40メートルという2000型相当の超圧倒的なスケールを誇るこの画面は、世界最大サイズをうたい文句にしており、一目見ようと連日多くの人々が押し寄せるお祭り騒ぎです。
この驚異の巨大ディスプレイは「ジャンボトロン」と命名され、世界をリードする日本の電機メーカーであるソニーが総力を挙げて開発しました。当時の日本のものづくり企業は世界市場を席巻する勢いがあり、万博という舞台はお互いの最新テクノロジーを競い合う最高峰の発表会となっています。ライバル他社も大型画面を展示して対抗する中、ソニーは「どうせやるなら大きいことをやろう」という創業者の一人、井深大氏の熱い号令のもとで世界一への挑戦を決めました。
会場内のカメラが来場者を捉えると、直径10メートルもの大きさで顔が映し出されるため、画面に映り込もうとカメラのレンズを懸命に追いかける大人や子どもの姿が印象的です。インターネット上のSNSなどでも「子どもの頃に自分の顔が映って興奮した思い出が蘇る」「あの巨大画面は近未来そのものだった」といった、当時を懐かしむ熱狂的な声が多数寄せられています。
さらにステージでは人気アイドルのライブ映像や、世界的な飢餓救済を呼びかける名曲「ウィ・アー・ザ・ワールド」のプロモーションビデオなども上映され、会場の熱気は最高潮に達しています。遠く離れた場所からでも鮮明に映像を確認できるため、大混雑の行列に並ばなくても十分に満喫できる点が素晴らしいと感じます。
このジャンボトロンの功績は、単なる万博の目玉展示に留まらず、屋外で大勢が同時に映像を視聴する「パブリックビューイング」という新しい文化の礎を築いた点にあります。これほど巨大な画面でありながら、自発的に光る素子を敷き詰めることで、太陽光が降り注ぐ明るい屋外でも驚くほど鮮やかな映像表現を可能にした技術力には脱帽するばかりです。
つくば科学万博という最先端の実験場で磨かれたこの技術は、閉幕後もサイズを変えながらアメリカの教会や国内外のイベント施設へと導入される予定です。今後はオリンピックやサッカーのワールドカップといった、世界中が熱狂するメガスポーツイベントの会場にも設置され、スタジアム観戦に欠かせないインフラへと成長していくことでしょう。
ただ映像を見るだけでなく、大画面を通じて見知らぬ人々が感動や興奮を共有できる体験こそが、ジャンボトロンの本質的な魅力です。1985年という熱い時代が生んだこの革新的なディスプレイ技術は、未来のスポーツビジネスやエンターテインメントのあり方を大きく塗り替える、まさに歴史的な大発明であると確信しています。
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