1995年1月17日の早朝、私たちの社会を揺るがした阪神大震災の発生から、本日でちょうど25年を迎えました。死者6434人、住宅の全半壊約25万棟という未曽有の被害をもたらしたこの激震は、日本の都市防災における大きな原点です。インターネット上でも朝から「決して風化させてはいけない」「あの日の教訓を未来に繋ごう」といった追悼と決意の声が数多く寄せられ、トレンドを席巻しています。これまでの四半世紀で、住宅や学校の耐震化、さらには災害医療や被災地支援の仕組みは着実に進化を遂げてきました。
甚大な火災被害に見舞われた神戸市長田区の街並みは、今では消防車がスムーズに通行できる広い道路へと生まれ変わっています。また、延焼を防ぎ一時避難場所としても機能する小公園が各地に整備されました。神戸市における身近な公園の数は2019年3月末時点で1501カ所に達しており、市民の憩いの場と安全を守る砦を兼ね備えています。住宅の耐震化率についても2013年の調査で91%を記録し、全国平均を大きく上回る高水準を達成しました。全国の公立小中学校でも耐震化率は99%を超えており、ハード面の対策は前進しています。
さらに注目すべきは、未来の防災を担う人材育成の広がりでしょう。関西大学が2010年4月に新設した「社会安全学部」を筆頭に、防災や危機管理、減災復興(被害を最小限に抑えて素早く立ち直ること)を学問として学ぶ環境が整ってきました。SNSでは「若い世代が真剣に防災を学ぶ姿に希望が持てる」と絶賛する声が上がっています。しかし、都市の安全対策に終わりはありません。大火災の危険性が高く避難が困難な「新重点密集市街地」は、全国でまだ3149ヘクタールも残されており、特に大阪府や東京都、京都府などの大都市圏で対策の遅れが懸念されています。
私たちは今、首都直下型地震や南海トラフ巨大地震という、これまでとは桁違いの災害リスクに直面しています。東京や大阪などの大都市で日中に直下型地震が発生した場合、駅や地下街はパニック状態となり、密集した群衆が押し寄せることで怪我人が続出する「群衆災害(ぐんしゅうさいがい)」が起きる危険性が極めて高いでしょう。実際の災害現場では、あらかじめ決められたマニュアル通りに事態が動くことはありません。だからこそ、市民や事業者が自ら状況を判断して動くための「自己決定力の向上」が何よりも求められているのです。
私は、これからの時代に必要なのは行政に頼るばかりではない「市民のつながりのイノベーション」であると考えます。神戸市では、住民同士が助け合う「防災福祉コミュニティ」が全192地区で組織され、共助の力を高めています。これに加えて、私たち一人ひとりが年に一度は家族で家具の転倒防止や緊急時の連絡方法を確認する「家庭の安全診断」を義務付けるような、主体的な自助の姿勢が不可欠です。「天災は忘れる前にやってくる」という危機感を共有し、今日という日をただの追悼だけでなく、具体的な行動を起こす契機にしていきましょう。
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