米イラン緊張の波紋!東南アジアのイスラム社会に広がる「中立」と「イラン支持」の複雑な舞台裏

中東で発生した緊迫した情勢が、遠く離れた東南アジアの地にも大きな影を落としています。2020年1月3日、米軍がイラン革命防衛隊のソレイマニ司令官を殺害したという衝撃的なニュースは、世界中を駆け巡りました。これを受けて、米国は中東以外のイスラム圏がどのような動きを見せるか、神経を尖らせて注視している状況です。特に注目されているのが、世界最大のイスラム教徒を抱えるインドネシアやマレーシアの動向でしょう。

インターネット上やSNSでも、この事件に対する関心は非常に高く、米国の強硬手段に対する批判や今後の世界情勢を不安視する声が溢れています。イランは今回の事件をきっかけに、イスラム社会からの同情と支援を最大限に集めようと画策しているようです。欧米諸国から「穏健派」とみなされてきた東南アジアの国々が、果たして米国とイランのどちらに傾くのか。この選択こそが、イランを孤立させようとする米国の戦略の成否を占う重要な鍵を握っています。

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宗派の壁とサウジアラビアとの深い絆

一言でイスラム圏と言っても、その内部には複雑な事情が存在します。イランと東南アジアの国々は同じ「イスラム協力機構(OIC)」の加盟国ですが、信仰する宗派が異なります。イランが「シーア派」の国であるのに対し、インドネシアやマレーシアは「スンニ派」が圧倒的多数を占めているのです。シーア派とスンニ派は歴史的に対立してきた背景があり、東南アジアの当局は国内でのシーア派の過度な台頭を抑えようと警戒を強めています。

さらに、東南アジアの政府がイランへ過度に接近できない現実的な理由が存在します。それは、スンニ派の盟主であるサウジアラビアとの深い関係です。サウジアラビアは聖地メッカを擁するだけでなく、経済的にも巨額の支援を行っています。例えば、インドネシアは2017年にサウジのサルマン国王を国賓として大歓迎し、10億ドル規模の開発支援の約束を取り付けました。多くの労働者がサウジで働き、本国へ送金している実績もあります。

マレーシアでも同様に、サウジとのつながりは政治的に大きな意味を持っていました。2018年に汚職疑惑で逮捕されたナジブ前首相は、自身の巨額資金疑惑を「サウジ王家からの個人献金」として処理し、関係性の深さをアピールしていた過去があります。このように経済的・政治的な結びつきが強いため、両国政府としてはサウジと激しく対立するイランに、表立って味方することは極めて難しいのが現状と言えます。

一般市民の感情とリーダーの「二重基準」

政府レベルでは「中立」を維持するとみられる両国ですが、一般市民の感情は少し異なるようです。東南アジアの多くのイスラム教徒は、米国の容赦ない制裁に耐えながら核開発を推し進めるイランの不屈の姿勢に対し、ある種の敬意を抱いていると分析されています。たとえシーア派の教義そのものは受け入れなくても、対米国の構図においては、イランを感情的に支持する声がSNSなどでも目立っている印象を受けます。

そんな中、マレーシアのマハティール首相が2020年1月7日に、米国の行為を「不道徳だ」と痛烈に批判し、中立を破る姿勢を示して波紋を広げました。しかし事態は複雑です。イラン政府が2020年1月11日にウクライナ民間機を誤射で撃墜したと認めた後も、マハティール氏はその件に触れず、米国批判のみを続けました。こうした「ダブルスタンダード(二重基準)」とも取れる姿勢には、国際社会からも疑問の目が向けられています。

編集者としての私見ですが、トランプ米大統領は不用意にSNSでイランを威嚇するのを即座にやめるべきです。大国が力でねじ伏せようと吠えれば吠えるほど、東南アジアの一般市民の反米感情は燃え上がり、結果的にイランへの支持を強めてしまうという逆効果を生むでしょう。長期的に見れば東南アジアがシーア派のイランと完全に融和することは困難ですが、短期的な民衆の反発を甘く見るべきではありません。

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