東大病院の放射線科医・前田恵理子さんに学ぶ!肺がん4度の再発を乗り越え、仕事と家庭を両立させる驚異の闘病記とがん治療の未来

医療の最前線で活躍する医師が、もし自分自身の重大な病を発見したらどうなるのでしょうか。東京大学医学部附属病院の放射線科医である前田恵理子さんは、2015年2月、勤務先のCT操作室で自らの画像に映る18ミリメートルの不穏な影を目撃しました。専門医としての知識があるからこそ、それが9割以上の確率で肺がんであると瞬時に悟ったそうです。初期のがんだから切れば治ると信じて臨んだ手術でしたが、現実は想像以上に過酷なものでした。

がんは肺の表面を突き破って広がっており、当時のデータによる5年生存率はわずか3割という非情な宣告を受けます。当時まだ4歳だった愛息と夫を残して先立つ恐怖が、彼女の胸を締め付けたに違いありません。術後に4ヶ月間の化学療法、いわゆる抗がん剤治療を終えた前田さんは、驚くべきことにすぐ通常業務へと復帰します。医師としての忙しい日々や国内外での学会発表に没頭することが、彼女にとっての精神的な救い、つまり最良の薬となったのです。

この壮絶なドキュメントに対し、SNS上では「医師であり患者でもある視点からの言葉に震える」「仕事が生きる活力になるという姿に勇気をもらった」といった、深い感銘と尊敬の血が通った声が数多く寄せられています。がんという病は、私たちの体だけでなく心までも蝕もうとしますが、前田さんのように「社会との繋がり」を維持し続けることこそが、絶望の淵から這い上がるための強固な足がかりになるのだと確信させられます。

肺がんの再発リスクが一段落すると言われる3年目を目前にした2017年7月、前田さんを再び悲劇が襲います。肺の表面に6箇所もの再発が判明したのです。ここで投入されたのが、がん細胞の増殖に関わる特定の分子だけを狙い撃ちにする「分子標的薬」でした。従来の抗がん剤に比べて副作用を抑えつつ高い効果が期待できる画期的な薬です。最先端医療の恩恵を受け、一時はがんが縮小したものの、1年半後には薬への耐性ができ、リンパ節への転移が進んでしまいました。

しかし、ここからの前田さんの打たれ強さは常人の域を超えています。2019年1月に2回目の手術を行うと、2月から5月にかけて化学療法を実施し、6月には3回目の再発に対する手術、さらに9月には4回目の再発へ向けた放射線治療と、1年間で怒涛の治療を重ねたのです。専門知識と執念で見事にすべてのがんを退治した彼女は、この満身創痍の時期にも、医療被曝の領域で大きな成果を上げました。2020年2月には、あの絶望的な宣告から5年生存を達成します。

幼少期から重い喘息を患い、病と共に生きてきた前田さんだからこそ、「受難を情熱に変える」という境地に達したのでしょう。彼女が自らの歩みを綴った著書は、多くの人に生きる希望を与えています。どんな過酷な状況でも、ただ生かされるのではなく、自分の意志で人生をコントロールしようとする姿勢が大切です。医療の進歩を信じ、諦めない心を持つことが、私たちが病に立ち向かう最大の武器になるのではないでしょうか。

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