2020年1月23日、大相撲初場所11日目に館内が大きく沸き立ちました。高田川部屋のホープである輝関が、実力派ベテランの栃煌山関を相手に圧倒的な相撲を披露したのです。土俵際で見せた鋭い攻めに対し、SNSでは「今場所の輝は一味違う」「ついに覚醒したのではないか」といったファンの熱い声が溢れ返っています。首位とわずか1差という白熱した賜杯レースの渦中にいながらも、本人は驚くほど冷静な表情を崩しません。
大舞台でも全く動じないその姿は、まさに「泰然自若」という言葉がぴったりでしょう。この四字熟語は、物事に動じず落ち着いている様子を意味しています。周囲の喧騒をよそに、本人はトップとの差について全く気にならないと語りました。身長192センチメートルという恵まれた体格から繰り出される力強い相撲は、見る者を惹きつけてやみません。これほどの精神力があれば、終盤戦の重圧にも十分に耐え抜くことができるはずです。
輝関の好調を支えているのは、基本に忠実な攻めの姿勢にあります。今回の取組でも、深く腰を落とした立ち合いから「喉輪(のどわ)」や「おっつけ」を効果的に繰り出しました。喉輪とは相手の喉元を押し上げて上体を起こす技であり、おっつけは相手の腕を自分の脇に挟むようにして動きを封じる技術です。もろ差しを狙って潜り込もうとする栃煌山関の戦略を、これらの技で見事に完封してみせました。
相手に回り込む隙を一切与えないまま、一気に土俵の外へと押し出す姿からは、現在の充実ぶりがダイレクトに伝わってきます。新入幕を果たしてから丸4年という月日が流れました。将来を嘱望されながらも、一時期は伸び悩む苦しい時期を経験した25歳の若武者です。しかし、2019年11月の先場所で自身初となる2桁勝利の10勝を挙げたことで、力士としての潮目が大きく変わり始めました。
ようやく自分の理想とする相撲が取れるようになってきたと、本人も手応えを口にしています。自信に満ちあふれた現在の取り口には、かつての恩師も熱い視線を送っていました。土俵下で審判を務めた西岩親方は、落ち着き払った弟子の成長ぶりに目を細めています。かつて自身の付け人を務めてくれた輝関だからこそ、より高い番付である上位陣の中で存分に暴れてほしいという期待が人一倍強いのでしょう。
古き良き伝統を感じさせる古風な力士が活躍することは、相撲界全体の活気にも繋がると確信しています。メディア編集者としての視点から見ても、彼のような寡黙で実直なキャラクターは、現代において非常に魅力的なストーリー性を持っています。翌日の12日目には、単独首位を快走する徳勝龍関との大一番が控えていました。たとえ大金星を挙げたとしても、きっと彼はニヤリともせずに花道を歩み去るに違いありません。
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