消費増税でも物価は低空飛行?2019年消費者物価指数から読み解く私たちの暮らしと未来への課題

毎日の買い物で「少し高くなったかな」と感じる瞬間はありませんか。総務省が2020年01月24日に発表した2019年の消費者物価指数(CPI)によると、生鮮食品を除く総合指数が前年比で0.6%上昇し、3年連続のプラスとなりました。CPIとは、私たちが普段購入する商品やサービスの価格変動を測定する、いわば「暮らしの体温計」のような指標です。しかし、上昇したとはいえ前年より伸び幅は縮小しており、物価の動きは依然として勢いに欠ける状況が続いています。

このニュースに対し、SNS上では「増税されたのに物価が上がらないのは景気が悪い証拠では」「給料が増えないから、お店側も値上げできないのだろう」といった、消費者の冷ややかな視点や不安の声が目立ちます。2019年10月には消費税率が引き上げられたものの、その影響はかなり限定的だった模様です。政府が打ち出した食品への軽減税率や幼児教育・保育の無償化といった家計負担を和らげる政策が、物価の急激な跳ね上がりを上手に抑え込んだと言えるでしょう。

前回の増税時である2014年には物価が2.6%も急上昇し、私たちの生活を直撃した記憶が新しい方も多いのではないでしょうか。当時は4月という年度初めの増税であり、引き上げ幅も3%と大きかった上に、今回のよう優遇措置がありませんでした。その結果として増税が物価を1.5ポイントも押し上げた当時に比べると、2019年の増税による押し上げ効果は通年でわずか0.1ポイント未満に留まっており、政府の対策が一定の功を奏した形です。

しかし、この「物価の低空飛行」を単純に喜ぶことはできません。総務省は「緩やかな上昇傾向にある」と説明しますが、携帯電話料金の値下げ圧力や、何よりも根本的な消費の弱さが物価を押し下げている可能性が否定できないからです。節約志向が根強い中、企業が価格を据え置かざるを得ない状況は、日本経済がデフレ、つまり物価の下落が続く悪循環から完全に脱却できていないサインとも受け取れ、一抹の不安を覚えざるを得ません。

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私たちの身近な食卓とエネルギー価格の気になる動向

一方で、細かな項目に目を向けると、私たちの生活に密着した部分での値動きが際立っています。特に生鮮食品を除く食料品の上昇が顕著であり、外食費が1.5%、菓子類が2.0%も値上がりしました。これらは原材料費の上昇や人手不足に伴う人件費の高騰が背景にあり、企業が企業努力だけではコストを吸収しきれなくなっている現実を物語っています。さらに、インバウンドと呼ばれる訪日外国人客の増加によって宿泊料も1.9%上昇しました。

また、同日に発表された2019年12月単月の物価上昇率は前年同月比で0.7%となり、11月と比べて0.2ポイント拡大しています。この背景には、私たちの生活インフラであるガソリンや電気代などのエネルギー価格の動きが関係しているでしょう。11月に大きく落ち込んだガソリン価格の下落が12月にはほぼ横ばいまで持ち直したため、全体の物価を押し上げる結果となりました。世界情勢に左右されやすいエネルギーの動向には、今後も注意が必要です。

編集部としては、今回の結果は単に「増税の影響が少なくて良かった」と安心できるものではないと考えます。物価が健全に上がるためには、企業のコスト増による値上げではなく、私たちの賃金が上昇し、安心して消費を楽しめる好循環が不可欠です。政府の手厚い支援策で増税のショックを和らげた今こそ、次の一手として実質賃金を底上げし、内需を本当の意味で活性化させる強力な経済政策を期待したいところでしょう。

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