ネットが引き裂かれる?ダボス会議でIT巨頭たちが鳴らす「スプリンターネット」の警鐘と私たちの未来

世界経済のリーダーたちが集うダボス会議において、インターネットの未来を揺るがす深刻な議論が交わされました。2020年1月22日、米グーグルのスンダー・ピチャイ最高経営責任者(CEO)は、人工知能(AI)が人類にとって火や電気を超える革命的な技術になると指摘しています。だからこそ、世界共通のルール作りが急務であると熱く訴えかけました。しかし、現実の国際社会では、ネット空間の「ブロック化」という不穏な動きが加速しているようです。

この状況を象徴する言葉として、今回の会議では「スプリンターネット」という造語が頻繁に飛び交いました。これは、破片を意味する「スプリンター」と「インターネット」を掛け合わせたものです。国や地域ごとに規制がバラバラになり、本来は一つであるはずのネット空間が、まるでガラスのように粉々に分断されていく現象を指します。SNS上でも「世界中と繋がれるのがネットの良さだったのに」と、この分断を憂う声が多数寄せられていました。

現に、データの扱いを巡るルールは地域ごとにモザイク状に広がっています。欧州連合(EU)が2018年5月25日に厳しい個人情報保護ルールである「GDPR(一般データ保護規則)」を施行したほか、アメリカのカリフォルニア州でも2020年1月1日から独自のプライバシー法が始まりました。さらに米中の覇権争いが、この亀裂を決定的なものにしています。中国・華為技術(ファーウェイ)の任正非CEOは、米国からの制裁が技術の供給網をズタズタにしていると危機感を募らせていました。

ネットの分断は、決して大企業だけの問題ではありません。2020年1月23日に米マイクロソフトのサティア・ナデラCEOが語ったように、分断は経済全体のコストを跳ね上げ、最終的には私たち消費者が不利益を被ることになります。また、新興IT企業である米クラウドフレアのミシェル・ザトリン最高執行責任者(COO)は、複雑な規制に国ごとに対応できるのは、豊富な資金力を持つ巨大企業だけだと2020年1月21日に警告しました。

つまり、良かれと思って作った地域のルールが、結果的に巨大IT企業の「寡占(特定の数社が市場を独占すること)」を助長するという皮肉な事態を招いているのです。一人のネットユーザーとして、この問題には強い危機感を覚えずにはいられません。国家のエゴによる分断は、人類の技術革新を止め、個人の利便性を奪う最大の敵でしょう。利害を超えた国際協調の原則を作れるかどうかに、私たちのデジタルの未来がかかっていると言っても過言ではありません。

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