お正月に用意したものの、使い切れずにキッチンで眠っているお餅はありませんか。「個包装の袋を開けたけれど、そのまま数ヶ月が過ぎて食べる気が起きない」というのは、多くの人が経験するお悩みでしょう。
SNSでも「毎年お餅の消費に困る」「鏡餅の食べ方に悩む」といった声が続出しています。しかし、お正月の風物詩としてだけで片付けるのは非常にもったいない話です。実は、お餅は日々の食卓を彩る万能食材であり、現代において大変優れた防災アイテムでもあります。
お餅は常温で長期保存ができる上に、効率的なエネルギー源になります。ご飯やパスタを調理する際は大量の水が必要不可欠ですが、お餅は火で焼くだけなら水が一切不要です。トースターや電子レンジがあれば、電気だけで簡単に調理できるため、買い置きを強くおすすめします。
とはいえ、しまい込んで賞味期限が切れては意味がありません。そこで提案したいのが、日常生活で消費しながら買い足す「ローリングストック(循環型備蓄)」です。普段から美味しく食べ、減った分を補充すれば、常に新鮮なお餅を備蓄できます。
現在手元にあるお餅は、今すぐ美味しく変身させましょう。定番の「からみ餅」は、大根に含まれる「アミラーゼ」という消化酵素が、お餅の主成分であるデンプンの分解を促し、胃腸の負担を和らげてくれます。大根おろしを絡めるだけで、理にかなった一品が完成するのです。
さらに、糖質を効率よくエネルギーに変換してくれるビタミンB1が豊富な納豆を添えた「納豆餅」も一押しのメニューです。また、いつもの炊き込みご飯にお餅を1個入れて炊くだけで、もち米を使わなくても、驚くほどモチモチした本格的なおこわ風ご飯が出来上がります。
もちろん、缶詰のゆで小豆を合わせた「あんこ餅」や、きな粉、砂糖醤油、海苔で巻いた磯辺餅といった甘味系も外せません。意外なところでは、マーガリンを塗って海苔で巻く食べ方もコクが出て絶品です。お餅はアイデア次第で、無限の楽しみ方が広がります。
ここで栄養学的な視点から、私なりのアドバイスをお伝えします。お餅は単体で食べると「GI値(食後の血糖値の上昇度を示す指標)」が高く、血糖値が急上昇しやすい特性があります。健康を意識するなら、他の食材と組み合わせることが非常に重要です。
その点、野菜や肉をたっぷり入れるお雑煮は、栄養バランスの観点からもまさに理想的な調理法と言えるでしょう。具だくさんにするほど栄養価が高まります。お餅は煮る、焼く、揚げるのすべてに対応でき、和食だけでなく洋食や中華にもマッチする万能選手なのです。
例えば、レトルトカレーに入れれば手軽なカレー餅になり、柔らかくしたお餅にミートソースとチーズを乗せて焼けば「ミートソース餅グラタン」へ様変わりします。お好み焼き風の味付けや、ケチャップとチーズを使った餅ピザなど、洋風アレンジも自由自在です。
ここで、管理栄養士の今泉マユ子先生が推奨する、手軽な絶品アレンジレシピを2つご紹介します。2020年01月14日の発表時点で大注目を集めている、手軽で栄養満点なメニューをぜひ試してみてください。
1つ目は、スープの旨味が染み込む「アサリ野菜餅」です。材料は1人前で、切り餅2個、市販のカット野菜1袋(200グラム)、市販のボンゴレビアンコソース1人分、水50ミリリットルを用意します。作り方は非常にシンプルです。
鍋にカット野菜、パスタソース、水、切り餅をすべて投入し、蓋をして火にかけます。お餅が柔らかくなるまでじっくり煮込むだけで完成です。アサリの出汁と野菜の甘みが、お餅の美味しさを最大限に引き出してくれます。
2つ目は、おつまみにも最適な「シラスの餅ピザ」です。材料は2人前で、切り餅3個、シラス30グラム、シュレッドチーズ30グラム、マヨネーズ大さじ1、サラダ油小さじ1、彩りの青ネギを適量用意します。
まず、切り餅を包丁で厚さ半分にスライスします。油を引いたフライパンに並べ、中火で両面を3分ずつ焼きましょう。ひっくり返した後にマヨネーズを塗り、シラスとチーズを乗せて蓋をし、チーズが溶けるまで約3分間加熱します。お皿に盛り付け、青ネギを散らせば完成です。
このように魅力たっぷりのお餅ですが、安全に食べるための配慮も忘れてはなりません。お餅は粘り気が強いため、よく噛まないと喉に詰まらせる危険性があります。特にシニア世代や乳幼児が食べる際は、周囲の徹底した見守りが必要です。
調理の段階であらかじめ食べやすい小さめのサイズにカットしておき、食事の前にはお茶や水で喉を潤しておくことが大切です。「よく噛んで、しっかり飲み込んでね」と声を掛け合い、正しい姿勢でゆっくりと口に運ぶよう意識しましょう。
忙しい朝や食欲が落ちている時でも、お餅なら効率よくエネルギーを補給できます。お正月だけのものと決めつけるのは本当に損をしています。お餅が手に入りやすいこの時期をきっかけに、年間を通じて食卓の定番としてローリングストックを取り入れてみませんか。
コメント