子供服やベビー用品でおなじみの西松屋チェーンが、海外市場への本格的な進出を開始しました。これまでは売上のほとんどを日本国内で確保してきましたが、2019年春からはアジアの小売店へのプライベートブランド(PB)製品の供給をスタートさせ、同年7月には中国の電子商取引(EC)モールでの本格販売にも乗り出す計画が進められています。この動きは、日本の小売業界、特に衣料品・ベビー用品市場における競争激化への明確な対策と言えるでしょう。
特に注目すべきは、西松屋のPB製品に対する国内外での高い評価です。PB(プライベートブランド)とは、小売業者自身が企画・開発し、独占的に販売する商品のことで、品質と価格のバランスが優れているのが特長です。実際に、日本を訪れる外国人観光客の間で西松屋の認知度が向上しており、帰国後もその製品を求める声が高まっていたのです。この海外からの需要を取り込むことが、今回のグローバル戦略の大きな柱の一つになるでしょう。
この大胆な海外展開を推進するため、西松屋は組織体制を大幅に強化しました。2018年秋には丸紅出身者をグローバル事業推進部長に迎え入れ、さらに2019年5月には同事業部に22名の人材を補充し、総勢26名体制へと拡大しました。兼務者を含むこの増強は、西松屋が海外事業を一時的な取り組みではなく、今後の成長の要と位置づけていることの現れでしょう。
具体的な供給先として、すでにアジアの代理店を経由して、おしりふきやベビーソープといった人気PB品の供給が始まっています。2019年6月時点では、中国のスーパー「銀泰西選」約30店舗、ベトナムの日本製日用品専門店「さくこ」約20店舗、そして台湾のベビー・子供服の専門店約180店舗といった、現地の有力な小売チェーンが対象となっています。今後は、さらにアジア全域のドラッグストアやスーパーなど、多様な販売チャネルの開拓を目指していくとのことです。
今回の西松屋のアジア戦略は、日本国内でユニクロなどの大手企業との競争が激化する中で、自社の強みである高品質で低価格なPB製品を活かし、海外市場という新たなフロンティアを切り開く、非常に理にかなった一手であると私は考えます。訪日客による消費、つまりインバウンド消費で培われたブランド力を、今度は**アウトバウンド(海外での直接販売)**へとつなげるこの戦略は、他の日本小売業にとっても参考となる事例になるのではないでしょうか。
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