🚀韓国発ユニコーン企業L&Pの「メディヒール」が中国市場を席巻!Kビューティーの次なる一手とは?【ドクターズコスメ戦略】

今、世界で熱い注目を集めているアメリカのD2C(Direct to Consumer:メーカーが仲介業者を介さずに直接消費者に商品を販売するビジネスモデル)ブランド「グロッシアー」が、企業価値10億ドル超の未上場企業であるユニコーン企業として話題を呼んでいますが、実は韓国にも世界で活躍する化粧品のユニコーン企業が存在します。それが、高機能フェイシャルマスクブランド「メディヒール」を展開するL&Pコスメティックスなのです。同社は2009年に設立され、わずか数年でKビューティーを代表する存在へと躍進しました。

L&Pコスメティックスの名を広く知らしめたのは、2012年に立ち上げた「メディヒール」ブランドのマスクパックです。この商品は、皮膚科専門医の知見や臨床経験、そして専門的な理論をベースに開発された、まさに「ドクターズコスメ」という位置づけになります。「NMFアクアリング・アンプルマスク」に代表されるこのマスクシリーズは、肌に水分コーティング膜を作り、潤いを深く与える効果があるとして絶大な人気を博しました。2019年6月時点で、これらのマスクシリーズは世界30カ国で累計約16億枚以上もの驚異的な販売実績を記録しており、これは韓国産マスクパックとしては過去最高の記録だと言われています。

この大成功の背後には、化粧品業界で長年の経験を持つ創業者、クォン・オソプ氏の卓越した手腕があります。L&P社が創業した当時、韓国の市場に出回っていたマスクパックの多くは、3枚で100円程度といった低価格帯の商品が主流でした。しかし、クォン氏はあえて品質の高さを最優先し、従来の市場には少なかった1枚あたり300円から500円という中高価格帯の「ドクターズコスメ」として商品を投入。これが消費者に受け入れられ、品質重視という新たな市場を創出することに成功したのです。

さらに、L&P社は巧みな流通戦略も展開しています。主要な小売店であるH&Bストアのオリーブヤングや免税店といった販売チャネルごとに、それぞれ異なるバージョンの「メディヒール」マスクパックを用意。これにより、消費者はどの店舗を訪れても常に目新しい商品に出会える楽しさが生まれ、ブランドへの関心を途切れさせません。現在では、なんと140種類もの多様な商品がラインナップされているとのことです。この戦略がSNS上でも「行くたびに新しいマスクを見つけられるのが楽しい」「どれを使うか迷っちゃう!」といったポジティブな反響を生み、購買意欲を刺激していると言えるでしょう。

L&P社がユニコーン企業へと急成長を遂げた最大の要因の一つは、ブランド立ち上げ後すぐに経営資源を集中させた、巨大な中国市場の攻略です。その結果、2015年には中国のオンライン市場で最も売れる外国製マスクパックの地位を確立しました。この成功を受け、同社は同年4月に中国のIT大手レノボ傘下のレジェンド・キャピタルから約30億円の投資を受けました。さらに同年末には、中国で最も成功した「韓商(韓国出身の実業家や企業)」の一人であり、中国のアパレル・日用品企業であるランシーグループから、約60億円もの巨額の出資を獲得しています。

ランシーグループは出資時点で中国国内に600以上の店舗を有しており、L&P社はこれを足がかりに、自社の販売チャネルに加え、中国国内の各空港の免税店などを通じた販売網を盤石なものにしていきました。この多角的な展開が功を奏し、2016年には前年比で約160億円もの大幅な売上増を達成し、売上高は一気に400億円台に到達する原動力となったのです。この勢いは衰えず、2018年には20代の若年層をターゲットにした新たなメイクアップアイテム「メイクヒール」を市場に投入するなど、事業領域の拡大にも積極的です。

さらに、L&P社は企業規模の拡大にも意欲的で、2018年末にはオンラインモールで45万人もの会員を抱える韓国の機能性コスメブランド「魔女工場」を子会社化しました。このようにM&A(合併・買収)に積極的な姿勢は、企業の成長を加速させる確かな戦略だと評価できます。もちろん、事業展開は常に順風満帆とは限りません。2016年には、米軍による地上配備型ミサイル迎撃システム、いわゆる「THAAD(サード)」の韓国配備をめぐる中国の反発により、一時的に中国での売り上げが減少し、予定していた新規株式公開(IPO)を断念するという壁にも直面しました。しかし、同社は新たなブランド投入やM&Aをテコに、再び上場への準備を着々と進めている段階にあるとのことで、今後の動向から目が離せません。

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